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2016年08月21日
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「日本会議の研究」菅野完 扶桑社新書

先ず本書の内容を1000字で要約したあと、わたしの感想を4点述べて、このベストセラー本を冷静に評価したい。

 日本会議の主なメンバーは、ほとんど生長の家の学生運動出身である。最初は1966年の長崎大学学正常化闘争が出発点だ。左翼系全学連から学園封鎖を阻止して、自治会選挙で勝ったその運動は、右翼学生から全国的に評価され、、やがて「全国学協」に発展し、社会人組織「日本青年協議会」を生み、樺島有三はそのトップとして君臨し続けている。
 1970年代の元号法制化運動で、日本青年協議会は「日本を守る会」の事務局に入る。しかし靖国神社国家護持法案で失敗し閣僚の公式参拝運動に切り替える。97年「日本を守る国民会議」と統合して「日本会議」が生まれる。それをプロデュースしたのは、同じ生長の家会員の参院議員村上正邦である。靖国神社問題の核心は宗教性を保ったまま慰霊行事を行う事であり、日本会議の存立に関わるので、会員たちはは公式参拝にこだわるのである。また、「日本会議国会議員懇談会」を設立し、第三次安倍内閣では閣僚に占める割合は84.2%になっている。首相補佐官に生長の家の出身の衛藤晟一が入っている。
 安倍政権の筆頭ブレーンの伊藤哲夫(「日本政策研究センター」)も生長の家出身。伊藤の主張は「歴史認識」「夫婦別姓反対」「従軍慰安婦」「反ジェンダーフリー」。改憲の目標は、憲法9条ではなく、「緊急事態条項」と「家族条項の追加」である。
 生長の家本体は1983年に政治運動から撤退したので、それに反旗を翻した信徒たちが作ったのが、日本会議の人々である。彼らの主張は「反左翼」「反ジェンダー」で単純なので、人々が集まりやすく、かつ真面目に草の根運動(選挙前のアンケート、国会請願、署名活動)しているので、組織票目当てに国会議員も結集しやすい。また、高い事務能力も有する。そしてこれらの運動をまとめているのが、長崎大以来の古参幹部の安藤巖である。
 菅野完は言う。「日本社会が寄ってたかってさんざんバカにし、嘲笑し、足蹴にして来た、デモ・陳情・署名・抗議集会・勉強会といった「民主的な市民運動」をやり続けていたのは、極めて非民主的な思想を持つ人々だったのだ。そして大方の「民主的な市民運動」に対する認識に反し、その運動は確実に効果を生み、安倍政権を支えるまでに成長し、国憲を改変するまでの勢力になった。このまま行けば「民主的な市民運動」は日本の民主主義を殺すだろう。」(298p)

読んで分かったことは二つ。ひとつは、彼らの主張の貧弱さである。脱退会員が言うようにカルト宗教だろう。理論的でないから様々な人々が結集できるとも言える。伊藤哲夫の作ったレジュメを見ても穴だらけだ。そしてもうひとつ、日本会議の歴史はよく分かった。
分からなかったことは二つ。菅野氏は彼らの「市民運動」を高く評価しているが、全く「同じ事」を、めげずに、愚直に、地道にこつこつやって来たのは、当の本家の「市民運動」である事を菅野氏はどうやら知らないらしい。そして署名数でもデモ参加者でも他の数字も、いつも日本会議を遥かに凌駕しているのも市民運動なのだ。それでも「国憲に影響を与える」ところにならないのは何故で、日本会議が安倍政権下で影響を与えているのは何故か、菅野氏は分析しなくてはならないだろう。
もう一つ。日本会議が安倍政権を利用している面と、安倍政権が日本会議を利用している面、両方あると思うが、どちらがパワーバランスで強いのか。それを見極めるのは作戦を練る上でも重要だと思うのである。

2016年8月20日読了





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最終更新日  2016年08月21日 21時57分36秒
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