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テーマ:映画館で観た映画(8382)
カテゴリ:邦画(12~)
「あの日のオルガン」 1944年。警報が鳴るたびに防空壕に避難していた品川の戸越保育所では、幼い園児たちの命を守るため保育士たちが保育所の疎開を検討していました。さまざまな意見を持つ親たちを説得してようやく受け入れ先が決まり、埼玉の荒れ寺で疎開生活が始まります。 倉敷市出身の平松美恵子さんが実話をもとに脚本を書き監督しました。昨年2月ムービックス倉敷の観客は、ほぼ満杯の観客で応えていて、山田洋次監督の愛弟子作品らしく涙と笑いに包まれていました。 戦争映画や疎開映画は幾つかありますが、疎開保育園を正面から描いたのは、これが初めてです。未就学児童なので、村の子供との軋轢はない代わりに、保母さんがほとんど親代わりで約5-6人で53人の子供を面倒を見ています。食糧の調達、おねしょ問題など相当な苦労があったのだと思います。そして、そんな幼児と別れたくない親と子どもの葛藤も描かれます。 疎開日当日の感想。「今日見たことを覚えておきましょ。今日聞いたのは、空襲警報じゃなくて、みっちゃんのひくオルガンと子どもたちの歌声だけ。私たちには健康な体とほどほどの脳味噌がある。それ使って、私たちの文化的生活を作りましょう」戦時下でも、理想を胸に幼児教育をしていたのです。 新米保母のみっちゃん役の大原櫻子がとてもいい。見た目はもうホントに近所の中学生から駆り出された子供としか思えない。そういう彼女が、幼児の世話を命がけでする。彼女が子どもに慕われたのは、みっちゃんが子どもだからではありません。彼女が計算づくではなく本気の笑顔と言葉で接していたからだと思います。子どもはすぐに見抜くのです。 疎開保育園のリーダー楓役の戸田恵梨香もとてもいい。凛々しく、子どもたちの将来を第一に考え、冷静さを持ちつつも、勝負どころではたぎるような熱さを爆発させる「怒りの乙女」を見事に演じ切っていました。戦が終わって子どもたちを全員見送ったあとの最後の慟哭に、安堵・悔恨・解放感・全てが入っていました。 その他佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子などの次世代若手女優が大挙して出演しています。面白い笑い、さみしい笑い、悲しい涙、心温まる涙、様々な感情を引き起こすいい作品だったと思います。(2019年作品レンタル可能) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年08月17日 13時37分17秒
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