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テーマ:映画館で観た映画(8382)
カテゴリ:邦画(12~)
「殺さない彼と死なない彼女」 家族で楽しめるお正月映画を去年の作品で探したのですが、見つかりませんでした。そこで、我が郷土が生んだ岡山の奇跡、桜井日奈子さんの最高傑作を紹介したいと思います。 ホントは観てもらいたい作品(「ジョーカー」「存在のない子供たち」「僕たちは希望という名の列車に乗った」)もないわけではないのですが、全部暗いんです。でも、これは日奈子ちゃんが「死にたい、死にたい」と言っている割には明るい作品です。おばあちゃんも子どもも、楽しめます。 私事ですが、職業訓練学校に通っていた頃、同級生で中学校出のヤンチャくんが、挨拶のように「死ね」とか「マジ殺す」という言葉を発していてビックリしたことがあります。この映画の主人公鹿野なな(桜井日奈子)も、リストカットを繰り返し「死にたい」が口癖の高校生です。ひょんなことから付き合うことになった小坂れい(間宮祥太朗)は、挨拶のように「死ね」と言います。ゲーム世代の子供たちには、こういう言葉が日常語になっているんですね。お孫さんを持っている方、そうなんですよ! この他に、あと二組の高校生が登場しますが、彼らの話が並行的に進んでいきます。このうち大和撫子(箭内夢菜)は八千代(ゆうたろう)に、高校入学時から10数回「好き!」という一言告白を繰り返すけれど、振られるのも繰り返します。もう一組の地味子(恒松祐里)ときゃぴ子(堀田真由)という、名前通りの地味系と発展系の高校生の実態も、ゆるゆるとしたユーモアで描かれます。 それにしても、彼らは「死ぬ」とか「好き」とか、語彙が少なすぎると、観ていてイライラしてきます。もっと本をよめ!とオジサンは言いたい。 でも、そんな時に大きな事件が起きます。そして、3組の男女の物語の相関関係も見えてくるという仕掛けです。やがて「深い言葉」の連鎖が起こるのです。ユーモア作品から一転涙涙の感動作になるという、稀有な作品でした。大人には高校生の単純な言葉の裏の気持ちを、若者には「生」の大切さを緩やかに伝える佳作です。 桜井日奈子の棒読み台詞は、この作品に関しては、役柄上の必然だと思います。温かく来年も若者の未来を見守りたいと思うのです。 (2019年小林啓一監督作品レンタル可能) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年12月22日 15時54分23秒
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