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世界三大美女の小野小町と深草少将との100日の恋、そして100日目に大雪で転落凍死…伏見稲荷大社の物語 78話
稲荷神社のある深草地域は豊かな農地が広がり2000年前の縄文時代から農業が盛んだった。この深草には朝廷の南部支所がありその支配地は深草、桃山、山科、宇治、八幡、淀までの広大な農地で地方の小さな県より年貢の石高は多かった。この南部支所は藤森にあり事務所と倉庫、それに南部支所長の屋敷まで入れれば約2000坪の広さだった。 この南部支所の最高責任者は従4位で少将の藤原憲明だった。この憲明をこの地域の人たちは「深草少将」と呼びこの支所も深草御殿と呼ばれて農民たちからもかなり慕われていた好人物でもあった。稲荷神社もこの深草にあり朝廷の出先機関である南部支所の管轄になり憲明こと深草少将とは稲荷神社三代目の宮司の伊蔵とは気が合い仲がよかった。 嵯峨天皇は東山の裏側になる山科と醍醐地区に新しい東部支所を作ると決められこの深草少将に東部事務所の設置場所を探せと命じられていた。この山科から醍醐にかけては山科盆地が広がり農地の開拓がまだまだ未開であった。それに山科、醍醐地域から深草支所へ年貢米を運ぶのには墨染峠という難所を越えなければならない。そこで奈良街道を北上して東海道から京の都に年貢を運ぶルートになった。 深草少将はこの山科の元豪族で小野氏の旧屋敷をこの東部支所の候補にしていた。この豪族は平安京になったと同時に桓武天皇に忠誠を誓っていた。そして小野氏が支配していた広大な土地が天皇家に取り上げられたが、この一族は貴族として召し抱えられていた。小野篁などがそれになる。 この小野氏の屋敷の敷地は奈良街道に面して約2500坪にもなるがこの屋敷に住んでいるのはほんの数名だった。その屋敷の仏間を随心院という寺にして住職は尼さんだった。深草少将はこの尼さんにこの寺はそのままにするが、その他の屋敷を東部支所にするがいいかと相談をしていた。この尼は即答をできないから少し待ってほしいという。この住職はどこかに相談をしにいったのかもう日が落ちていた。 深草少将は腹が減り裏庭に柿でもないかと探していた。すると離れ屋敷の障子がス~と開けられて品のいい女性が、 「お役人さま、住職は檀家の人々となにやら話込んでいます。寒いですから中にお入りください」 「それはかたじけない…」 深草少将はこの女性をまじまじと見るが、それは若くて綺麗でしかも貴族の姫のように髪は長くて肌は透けるように白い、 「そちはこの小野氏の姫なのか?」 「はい、小野小町と申します」 「しかし、小野氏の一族はすべて貴族で屋敷は宮廷の近くにあると聞いているが?」 「はい、私は従3位の小野良樹の娘で良樹が浮気してできた子供になります。それで仮の屋敷としてここに住んでいます」 「ほう、あの良樹さまのお姫さまでしたか」 この日はそのまま帰ってはいたが、深草少将はこの小町に一目惚れをしていた。それからこの屋敷に仕事で来るたびに小町の住んでいる離れ屋敷に恋文を置いていた。やかでその想いが通じたのか小町からの文がそこにあった。それを読むと、 「いつも素敵な恋文をありがとうございます。私の憲明さまのことをお慕いしています。人目もありますから夜の10時に私の屋敷に来てください」 深草少将は洛中の有名なお菓子を手土産にその日の午後8時に藤森の屋敷を出発していた。大和街道を南へ、そして墨染街道の峠越えだが、この峠は標高こそ約200mと小さな丘だがその急斜面の峠は難所としても知られている。約2時間かけて憲明は小町への夜這いに成功していた。小町は恥ずかしいのか明かりをすべて消して待っていてくれた。この日は曇りで部屋の中は真っ暗闇で小町の衣擦れの音さえ大きく聞こえるほど耳の神経は異様に過敏になっている。 「小町さん、愛しています」 「はい、憲明さま~わたしもです~」 こうして2人は愛を確かめ合った、そして憲明は、 「小町さん、私と結婚してほしい」 「それなら私をこうして100回愛してください。それにその都度、何か今日のお土産のような甘いものをお願いします」 といわれて憲明は萱(かや)の実を100個渡されていた。それは1回の夜這いで1個証拠として数えるためだと小町は説明している。 それからの深草少将は毎日午後8時出発が日課となっていた。そしてそれが90日目になろうとする時に稲荷神社の伊蔵が憲明と面会したが、その憲明は見る影もなくゲッソリ痩せて顔色も悪い、伊蔵は思わず、 「おい、お主なにかに取りつかれているのでは…」 「いや~そんなことはない、こうして元気だ」 とはいうが、それは嘘になるので伊蔵はフォックス警備保障の狐に憲明の調査を依頼していた。その調査はすぐにわかり狐が伊蔵に報告をしている。 「伊蔵さま、深草少将は小野小町に化けた古だぬきに騙されています。その目的は憲明さまの愛撫と甘いお菓子でそれを100回もノルマにしていたようです」 「ほう、犯人は狸か?」 「はい、本来狸は化けるのが下手ですが、あの老婆の狸は化けるのが上手いそうです」 「そか、それなら憲明にそれをいっても信用はしないだろう…」 「その通りです。しかも今夜がその100回目の記念日になります」 「そか、それがどんな結末になるのかはわからないが、100回目を憲明にやらせてやろう…」 「して、その古狸への100回目後の処分は?」 「 いや、憲明の話ではあの屋敷は随心院の寺を残してすべて取り壊されて新しい東部支所になるというから、その狸も棲む所がなくなるからそれでいいのでは」 「はい、そうですね~あの古狸も憲明さまが毎日持ってくる甘いお菓子で相当糖尿病が悪化していますからそう命は長くはありません」 この100日目の記念すべく日は朝から大雪だった。それでも深草少将は残り一つとなった萱の実とお土産のお菓子を持って峠を下っていたが、足を滑らして急斜面から崖に落ちて凍死していた。しかし、その死に顔は笑みをもって何かをやり遂げた自慢顔にも見えた。 …画像は小野小町 伏見稲荷大社の物語…全国狐連合会26代目の会長「白藤」の襲名披露・キツネ灯の正体は「人魂」だった。 77話 伏見稲荷大社の物語…「同じ金でもカジノで使うより神様に使うほうが品があると「お塚」が建立された」…マイ神様1万基 76話 短編小説「タクシードライバー・ジョッキーの竜」第6話『ジョッキーの竜は、まだ青い!』 働く女性たち…「中流階級の落とし穴、離婚しても地獄・紀子」 17話 忠臣蔵と伏見稲荷大社・大石内蔵助と白狐、白藤との恋・討入48番目の義士は狐だった 伏見稲荷大社の物語 75話 日本最初の郵便・稲荷神社参拝の講が全国←→京の都に手紙が届くシステム・講はインターネットの役割もしていた 74話 坊主カジノでテラセン(寺銭)を稼ぐ…宿坊、水茶屋など、IR統合型リゾートtemple、テンプラ・これに反対したサガノミクス(嵯峨天皇) 73話 狐がタイムマシーンで現在の伏見稲荷大社へ・日本がテロの標的になると狐の諜報部員の報告・「伏見稲荷大社の物語」…72話 日本初の女性の宮司と巫男の梅宮大社…女が男への戦いを宣言した神社・伏見稲荷大社の物語…71話 伏見稲荷大社の1300年、奉納演奏~ピコ太郎~小池百合子都知事までの長い~「少しの運」のこじつけ~コラム 武御前社…巫女の女剣劇真希一座の誕生、これが江戸時代には歌舞伎となった。赤ちゃんの額に、大は男の子、小は女の子 70話 唐芋のルーツは狐だった。禁断の食料として1200年も前にもあった薩摩芋、TPPもこれを読んで考えてほしい 69話 お賽銭や願いことのお礼は願いが叶った後の後払いになるというのが千本鳥居のルーツになる。千本鳥居の1本目 66話 加齢黄斑変性症、約2時間30分の手術・その後の治療、アイリーア硝子体注射(眼の玉に注射)…15回の体験記 トランプ氏は70歳で大統領に…アンノン族から小池百合子新党まで、いずれ泡と消える運命・伏見稲荷大社は1305年…見習え! 67話 伏見稲荷大社の奉納演奏…1200年前からあった秋の収穫祭・新人巫女さんの発表会「820年・稲荷17巫女ダンサーズ」65話 卑弥呼の邪馬台国は長岡京にあった!卑弥呼の墓こそ「元稲荷古墳になる」という長岡京説 64話 新・京のいけず石・いけず石・古典のいけず石、背丈80センチ、駐禁ダメ押し、花壇風の上品な、・ど根性いけず石… 1~78話は↑の「記事一論」からお入りください。 この コラムに関するご意見等は「音川伊奈利の掲示板」にお書きください。HNは必ず書いてネ、 新電子書籍…このブログの記事をまとめた無料の書籍になります。 「伏見稲荷大社の物語・嵯峨天皇と稲荷神社 73話…更新随時」 http://p.booklog.jp/book/108339/read 「京都歴史裏のコラム・吉祥院天満宮・政所公園の白狐、北政所御墳墓、吉祥院稲荷・キュウリの糠漬け」 http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201607090000/
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最終更新日
2016年12月22日 06時05分02秒
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