第二次世界大戦下のベラルーシでドイツ軍に抵抗したユダヤ人たちの、実話をもとにした映画です。
劇場に入ってまず感じたのは、「観客の平均年齢、高っ！」
まぁ、そういう映画だから自分には珍しく、朝イチで鑑賞にしたわけですが。（もっとも、ポイント招待券ですが）
1941年、ドイツ軍はベラルーシを占領。ナチス親衛隊は地元警察と組んでユダヤ人狩りを始める。
8月、村を襲われて両親を殺害されたトゥヴィア、ズシュ、アザエルのビエルスキ兄弟はリピクザンスカの森に逃げ込む。そして森には同じように逃げてきたユダヤ人たちが次々と合流してゆく。
トゥヴィアは両親を殺した警察署長を殺害。そして数十人になった集団はビエルスキ・パルチザンを名乗り、農家から食料を調達しつつドイツ軍に対して攻撃を仕掛けるようになる。
しかし、ある日ドイツ軍との銃撃戦で仲間を失い、アザエルも行方不明になったことで考えを変える。
「生き残ることが復讐だ。」硬い防御のもと、森で暮らすことを決める。
アザエルも戻り、森のキャンプでの生活が始まったとき、トゥヴィアとズシュはソ連赤軍と出会う。
そしてその頃、合流したユダヤ人から「間もなくゲットーが取り壊される。次々とユダヤ人が殺されている」と言う情報を聞いたトゥヴィアはゲットーのユダヤ人を救うことに決める。しかし、キャンプの人数がこれ以上増えると養えない。トゥヴィアと対立したズシュは赤軍と合流するためにキャンプを出てゆく。
ゲットーのユダヤ人を加えて大所帯になったキャンプは厳しい冬を迎える。
次々と発生する難題に、リーダとなったトゥヴィアの苦悩は続く。
最新００７のデニエル・グレイグが主演で、抵抗組織のリーダーを演じています。
（『007 慰めの報酬』は観ようとは思っていますが、まだ観ていないです。そのうちに。）
ドイツ占領下のユダヤ人を扱った話ですが、『シンドラーのリスト』とは違い、ユダヤ人自身が戦い、自立してゆきます。
といっても支援組織があるわけでなく、武器は家庭にある銃やドイツ軍からの分捕り品。食料は略奪同然に調達したりします。
そのため、農民に密告されたりします。
森の中でのゲリラ活動、ということで先日観た『チェ 39歳別れの手紙』に通じるところもありそうですが、かなり様相が違います。
一番の違いは、ドイツ軍によって生活が破壊された一般人が大半だというところです。
キャンプに次々と合流するユダヤ人。
追い払うわけにいかず、キャンプは巨大化。
「なんとかする」とは言うものの、具体策がないトゥヴィア。
すべてがリーダーにかかってきて、トゥヴィアは苦悩します。
極寒の中、体調が悪くてもお構いなしです。
ドイツ軍に追われる上に、キャンプ内部での対立。
特権意識を持った人間の登場に、トゥヴィアは非常手段に出ます。
トゥヴィアはリーダーの特権を振りかざすこともなく、苦悩し続けます。
最初は無鉄砲だった三男のアザエル。
みるみる成長して、後半では悩むトゥヴィアに代わって判断するようになるなど、頼もしくなります。
次男のズシュも赤軍に合流しますが、民族が関係ないはずの共産主義の軍の中でもユダヤ人差別にあいます。
そして、最後に下した決断は…
実在のビエルスキ兄弟は、戦後自分たちの功績をほとんど語らなかったそうです。
もしかすると、自分たちが下した判断が最良なものだったのか、死なずに済んだ人たちを死なせてしまったのではないか、と考えていたのかもしれません。
これもまた地味で娯楽性は高くない映画ですが、いままでに扱われたことがなかった主題なので、かなり興味深く観た映画でした。
