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カテゴリ:万年筆
万年筆には、様々な金属パーツが使われています。
例えば、ペン先には、金合金やステンレスがよく使われますね。 それ以外にも、クリップやリングに金属が使われていることが普通です。 軸が金属製の万年筆もあります。 クリップやリング、軸の材料として使われる金属は、主にアルミ、ステンレス、真鍮などではないかと思いますが、鉄(合金)なども使われるのかもしれません。 また金属パーツには、金、ロジウム、ニッケルクロームメッキが施されてていることが多く、腐食しやすいに金属でも錆に強く仕上げてあることが大半です。 にも関わらず、短期間で錆びるものがあるんですよね。 高温多湿な季節が長い中国華南という要素もあると思いますが、錆は悲しいです。 クリップやリングが均等に錆びるなら分かるのですが、中にはクリップだけ錆び易いものがあったります。 クリップやリングには、同じ金属が使われ、同じようにメッキが施されていると思っていたのですが、そうした経験から、どうも違うように思いはじめました。 そこで、 現在科学の最先端をゆく分析装置で、万年筆の金属パーツを調べてみました。 じゃじゃーん。 「ただの磁石じゃないか!」って言うな! ただの磁石ではありません。U字型。 しかも「N」、「S」って書いてあります。 そこに何の意味もありません。 別に、棒磁石でもいいんですよ。 磁石の登場で話が見えたと思いますが、磁石に「くっつく」、「くっつかない」で金属パーツを分類しようと言うのが今回のお話です。 まず、万年筆に使われていそうな金属を磁石に「くっつく」、「くっつかない」で分類しておきます。
あくまで、ざくっとした分類です。 表には鉄しか書いてませんが、おそらく鉄の合金も磁石にくっつくものが多いでしょう。 ステンレスは、鉄にクロムやニッケルを加えた合金で、沢山の種類があり性質も異なります。 すべてを網羅できないので、表では、2種類に分類しました。 300系のステンレスは、磁石にくっきませんが、加工によっては磁性体に変化し磁石にくっつく場合もありますので一概には言えません。 ちなみに300系ステンレスは、流し台とかに使われています。その流れで行くと、400系ステンレスは包丁ですね。 では、実際に万年筆を調べてゆきましょう。 まずは、ペリカン M800、M400SE、モンブラン 149(80年代)、パイロット カスタム742、セーラー プロフィット21。 これらは全て、リングもクリップも磁石にくっつきません。 磁石にくっつかないからと言って、全てのパーツに同じ材質が使われているとは限りませんし、ある程度の弾力が要求されるクリップなどは違う材質が使われている可能性もあると否定できません。 対して、パーカーソネット(旧)、パーカー45、ペリカン M200の場合は、リングはくっつきませんが、クリップが磁石にくっつきます。 同じペリカンでも、トラディショナルのクリップは、スーベレーンとは異なるようです。 一見、同じクリップに見えるのですが、トラディショナルシリーズは見えないところでコストを落としていそうですね。 パーカーの万年筆は、子供が誤って飲み込んだ場合の対策として、キャップに工夫がありますが、その一環で何か工夫しているのかもしれません。 パイロット カスタム742とは異なり、尻軸部分のリングのみが磁石にくっついたのがパイロット カスタム823。 プランジャー式の823の場合、尻軸のリングは、ちょうど可動部分の先端になるので材料を変えて何か工夫してるんでしょう。 また、手持ちの鉄ペンのペン先も試してみましたが、殆どが磁石に付かないので、300系のステンレスが使われている場合が多そうです。 同じステンレスでも、400系より300系の方が腐食に強いものが多いようなので、300系が好まれるのではないかと思います。 今回は、万年筆の金属パーツについて調べましたが、同じモデルでも製造時やロットによって異なるパーツが使われている可能性もあります。 同じモデルで時代の異なるもの持っている方は、調べてみても面白いかもしれません。 時代を特定する手がかりになるか可能性もありますね。 余談ですが、ステンレスと言う合金は曲者です。 製造過程や製品への加工方法によっては本来の性質を発揮できない場合があります。 中国のステンレスは錆びやすいと言う話を聞いたことはないですか? これは、あながち嘘ではなく、本当です。 メッキも下処理の脱脂が下手なのか剥がれやすいものが多い。 愛犬ワンワンのケージは、「錆びない」とお店の人が勧めるので高いものを買ったのに見事に錆びました。 ちなみにワンワンのケージは、磁石にくっつくので400系のステンレスが使われてようです。 400系なので元々腐食に弱いことは理解できますが、それにしても酷いような気が・・・。 それともワンワンから金属を腐食させる何かが出ている? そんな恐ろしい生き物だったのか? ともかく、なんちゃってステンレスも多いので注意が必要です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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