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凡声庵閑話:南正邦の覚え書き Minami Masakuni

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2021.12.28
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カテゴリ:彫刻について

動きの解剖学

マーク・デイヴィス

「マーク・デイヴィス作品集」より

この動きの解剖学は、アーティストやアニメーターが、人間の動き、人体の構造や関節に対する理解を深める一助となることを目的としている。


いわゆる解剖学とは異なり、人間の動きが、いかに空間や重力、筋肉のエネルギーと相互に作用しているかということについて書いたものである。


生きている人間は、水のように、常に重力や周囲の環境からの影響を受けている。


座る、立つ、動く、そのすべてに重力が関わっているのだ。


すべての生き物は立体であり、三次元空間で周囲の状況に応じて動いている。


人間は地上で暮らし、地面を踏みしめて歩く。

魚は水中で水をかきわけて泳ぎ、空中を飛ぶ鳥は空気に支えられている。

人間、魚、鳥の動きはすべて、触れている物質の状態と連動している。

人間も魚も鳥も、地面や水や空気と触れて力を及ぼすことにより、必要と環境に応じて、歩く、泳ぐ、飛ぶという、それぞれ特有の方法で動き回ることができるのである。


人間は動きに魅せられる。

これは、容易に理解できるだろう。

我々は、静止しているものより、動いているものを見たがる。

繰り返し浜辺に打ち寄せ、くだける波を見るのは楽しいし、そこに空を舞うカモメ、水に飛びこむペリカン、泳いでいる人などが加われば、さらにわくわくする。

あるいは、街頭で踊っている子どもを見ているとき、それを見ている観客には、みんなほとんど注意を払わない。

動物園に行って眠っている動物を見て満足する人はめったにいないし、たとえ檻に入っている動物でも動けば観客はよろこぶ。


動き、あるいは、運動とは何か?


正確に言えば、ある物体が、ほかの物体との関係において、その位置を変えること!


アーティストにとってニュートンの運動法則は示唆に富んではいるが、アーティストは、それを文字通りに解すべきではない。


ほとんどの動きに重力は不可欠だ。

ニュートンの重力の法則いわく

「この力(重力)があるから物体は重さを有する。

そしてその力は、物体のある1点を中心に物体全体に作用すると考えられる。

その中心点を重心という」重さがなければ、環境や周囲の状況に対して動きをコントロールすることはできない。


無重力状態にいる宇宙飛行士は、自分の腕や足の筋肉をコントロールすることはできるが、周囲の環境との通常の関係は失っている。

重さがないため、地表に対して思い通りに動き回ることはできない。

重力が我々の体に重さを与え、重さがあるから体は地表に留まり、体が地表に対して力を使うことで動きをコントロールできるのである。


ほとんどの生き物は、エネルギーを保存するために、休息姿勢から次の動きに移行する。

たとえば、ある人が椅子から立ちあがり、部屋を横切って、重力に対してバランスをとりなおし、窓から外を眺める。

このとき彼は、完壁なバランス状態(休息)から、行為(バランスを失った状態)を通して、再びバランスのとれた状態(休息)へと移行したのである。

ある場所から別な場所へ移動するとき、大人は、最も楽で、疲れないやり方で行うのがふつうだ。


ある場所から別の場所へ進むという基本的な動きでも、その行動の特徴は個体によって大きく異なる、そして我々は、その行動の特徴に基づいて判断を下す。

人間や動物の身体的な動作を解釈することで、自分と対象との関係を計るのだ。

ある動きは滑稽で、ある動きは楽しげ。

また、ある動きはドラマチックだったり、哀れを誘ったり。

それらはみな、アーティストに観察と解釈を促す。

観察して、考えをまとめ、表現するのがアーティストの本分だ。

できあがったものが素朴であれ、知的であれ、情熱的であれ、抽象的であれ、アーティストは常に自分が見て、理解したものを作品という結論に落としこんでいく。

その結論は、一般的に、アーティストが対象を完全に理解しているときに、より満足できるものとなる。

そして対象を十分に理解するためには、対象の構造と同様に、その動きと運動のさまざまな様相を理解しなければならない。


四つ足歩行と二足歩行の動きの原理は同じである。

人間の上体は、片方の足で体重を受けとめて支えながら、もう一方の足で後方に力を働かせることで前に進む。

片方の足が力を働かせているとき、もう片方は、前に出して体重を受けとめ、体を支えられるようにリラックスし、休息状態にある。

つまり、足が体を前に進ませるのは力学なのだ。

この原理は、誰かが急な坂や階段を登っているのを見ればすぐにわかる。

活動、休息、活動、休息と、常にスイッチが入れかわっている。

人間が壁に背をつけてまっすぐに立ったまま前にかがもうとしたら、つんのめって倒れてしまう。

前にかがんでつま先に触れようとするなら、骨盤を後ろに引いてバランスを保たなければならない。

このように人体の限界を知ることは、その特徴を知るのと同じくらい重要だ。

肋骨と背骨の接合部分は柔軟性がなく、曲がりにくい。

骨盤部分と頭部も同様だ。
反対に首と腰部は非常に柔軟だ。

骨格は、生物の形と特徴を規定する。

だからこそ科学者は、骨から絶滅した生物を復元することができるのだ。

服胴が長いか短いか、長い足をしているか、ずんぐりしているか、その姿は骨格の構造に反映される。

ドワーフから巨人まで、骨格が姿形と大きさを決めるのである。

人間は2本の足でバランスをとっている。

ウマは4本でバランスをとり、重心は、後ろ足よりも前足に近いところにある。

ワニはごつごつした短い足で体を持ち上げて歩き、体を地面につけて休息する。

ウマは、足の配置とその固さにより、活動、休息のどちらの状態でも立ったまま、体を通常の高さに保っていられる。

人間の体もまた、固い骨に支えられている。

ウサギやリス、その他の多くの動物たちは、重心が後ろ足の近く、かなり後方にある。

そのため容易に飛んだり跳ねたりすることができ、生来の傾向として後ろ足で立って上体を起こすことができるのである。

クマも重心が腎部の近くにあるため、後ろ足で立つことができる。

人間も動物も、構造的に、後ろよりも前にのめるようにできている。

後ろに進むより前に進むほうが簡単なのはそのためだ。後ろ向きに歩くのは、ぎくしゃくして難しい。


人間は最も複雑な動物である。

そして人間は、最も適応力があり、最も多彩な行動をとることができる、と同時に、最も多様な数々の影響を受ける。

人間は考え、感じる。

創造し、ゲームを、ユーモアを楽しみ、趣味をもち、当惑する。

そうしたすべてのことが、人間を、果てしなくエキサイティングな研究と表現対象にしているのである。


形と重さの原理


ものの動き方や構造を理解するだけでなく、絵という伝達手段を補う視覚的なシンボルについても理解しなくてはならない。

我々アーティストは、自分のいいたいことをどのように視覚化するか、理解する必要がある。

そのための原理をいくつかあげよう。


ある一定の形は、重さ、あるいは、軽さを表す。

ある特定の形は、立体と平面、どちらにするか選択できる。

平行線は平面と解される。

正円も同様に平面と解されるが、図形的に手を加えることで球にすることができる。

正方形は平面だが、立方体にもなる:我々は紙という平面に、三次元の世界の幻影を創造することができるのだ。













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Last updated  2021.12.28 19:17:27
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