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カテゴリ:塾
【 夏期講習特別ふろく 読書感想文の書き方 】
1 はじめに 夏休みや冬休みになると、たいてい「読書感想文」が宿題で出されます。でも、何をどう書いて良いか分からないという生徒が多いのです。塾の生徒でも、毎年夏休みの終わり頃になると「先生、読書感想文どう書いたらいいんですか?」といって持ってくる生徒が何人もいます。 どうやら、学校では宿題は出すけど、その書き方までは教えてくれないらしい。ぼく自身も、読書感想文の書き方を学校で習った記憶はない。国語の授業といっても、授業で文章の書き方を教わった覚えはない。 そこで、ここでは読書感想文の書き方のひとつの方法を示します。 これが「唯一の方法」だとも、「最善の方法」だとも思わないけれど、「簡単な方法」ではあるとは思います。 小説を書くときの基本となる方法を、読書感想文に応用してみました。他のどんな文章でも使える方法なので、知っておいて損はないと思います。また、こんなせこいのじゃなくて、もっとちゃんとした文章の技術を知りたい人は、益田まで相談しにきてください。 2 読書感想文に本の感想なんて書いてちゃダメ 読書感想文を書けと言われて、まず思いつく駄目なパターンは「おもしろかった」「感動した」と読んだ感想を書いただけの作文です。 「読書感想文なんだから、本を読んだ感想を書けばいいんじゃないの?」と思った人は、ぼくからしたら読書感想文が何であるか、まったく理解していないということになります。 結論から言うと、 読書感想文とは、「本を読んで、自分の生活を反省する作文である」 ということになります。 まず、登場人物の体験と自分の生活を比べる、そして、「自分にはこんなことはできない」「自分にはこんなところはないか」と反省して、最後に、「これからは自分もこうしよう」と前向きになる。 これが基本です。 つまり、読書感想文とは本の内容や感想を書く作文ではなく、自分の生活や体験を書く作文であるということです。 例えば、読んだ本の登場人物が「自然をとても大事にする人」だったとしましょう。 あなたはそこで、自分をふり返るのです。「自分は環境のことを考えているか?」「ゴミの分別や水道の無駄づかいなどに気をつけているか?」そして、登場人物と自分を比べながら 自分はどういう人間なのか、自分の身の回りにどんなことがあったかを書いて、「これからは自然を大切にしたい」と書くのです。 あるいは、本の登場人物が「友情は大事だ」と言ったとしましょう。 そこで自分自身をふり返ります。「自分には大事な友人がいるか?」 「友人を裏切ったことはないか?」 また逆に「友人に助けられたことはないか?」「ケンカした友人と仲直りするにはどうしたらいいか?」 など、読んだ本を通して、自分の生活や体験、そして自分の気持ちをふり返って下さい。 読んだ本のことを書けと言われても「おもしろかった」「感動した」くらいしか書けなくても、自分のことなら少しは書けるような気がするでしょう。本を読んで、自分の生活や体験を反省し、今後の希望を書く、それが読書感想文の書き方です。 なぜそう言い切れるかというと、少なくとも学校の求める読書感想文とはこういうものだからです。それは、コンクールで賞を取っている作品を眺めてみればわかります。ほとんどこんな作品ばかりですから。 3 下書きメモを作ろう 文章を書くときは、まずメモを作ります。いきなり原稿用紙に書き出してはいけません。 あらかじめ、どんなことを書くかというメモを作って、だいたいの内容が決まってからはじめて原稿用紙に向かいます。 小説では「プロット」とか「箱書き」とかいうのですが、全体の構成を考えたメモを作ります。 ○何を書くのか (必ず入れる言葉、体験した出来事、など思いついたことはメモに書く) ○字数配分 (この内容で何行というおおまかな配分を決めておかないと、全体の字数に合わせる) とりあえず全体のプランを立てるために必要なのはこの二つくらいです。 次に、1.何を書くのか について、を書くために考えるべきことを具体的に述べていきます。 ●メモ作り ・文章を書くための材料を集めます。 読んで印象に残った場面、ポイントになりそうな場面をいくつか選びます。(いくつあってもよい) ・材料をふくらませていきます … 各場面ごとに次の1.から~4.のことをノートに書いていきます。 1. 印象に残った場面の登場人物の行動や体験 2. 「1」に対する自分の考え 3. 「2」からわかる自分の性格、生活、考え方 4. 「3」の具体例、成功例、失敗例(実際にあったことでなくても良い) これらのメモを組み合わせて、読書感想文を書くわけです。 場面はいくつあってもかまいませんが、テーマはひとつにしぼるべきです。たとえば「友情」というテーマで書こうと思ったら、友情に関係のない場面は捨てて、テーマにあった場面だけを書くようにします。 このメモを元にして、全体の構成を決めます。 例として、原稿用紙三枚(60行)の読書感想文を書くとしてハコ書きを書いてみます。 1. はじめ … この本はこんな本だと、簡単に説明 5行 2. 1 印象に残った場面の登場人物の行動や体験 15行 2 「1」に対する自分の考え 5行 3 「2」からわかる自分の性格、生活、考え方 10行 4 「3」の具体例、成功例、失敗例(実際にあったことでなくても良い) 15行 3. まとめ … これからは自分はこうありたい 5行 これで55行です。 ひとつのネタで15行はちょっと長くて、書くのがつらいかも知れないので、そんなときは、 1. はじめ … この本はこんな本だと、簡単に説明 5行 2. 1 印象に残った場面の登場人物の行動や体験 10行 2 「1」に対する自分の考え 5行 3 「2」からわかる自分の性格、生活、考え方 5行 3. 1 印象に残った場面の登場人物の行動や体験 10行 2 「1」に対する自分の考え 5行 3 「2」からわかる自分の性格、生活、考え方 5行 4 「3」の具体例、成功例、失敗例(実際にあったことでなくても良い) 10行 4. まとめ … これからは自分はこうありたい 5行 と、場面をふたつ持ってきて調整すれば、60行くらいはすぐにいってしまいます。 この段階で、書き始めるための準備は整っています。 あとは実際に書き出してみて、細かいところを直して清書したら完成です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006/08/07 01:58:14 AM
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