テーマ:ワイン大好き!(30885)
カテゴリ:ワインプローベ
週末のワイン。
2006 Riesling QbA feinherb, Wgt. Melsheimer (7.50Euro) ワイン雑誌Vinumの主催する2007年度リースリング生産者大賞受賞したトーステン・メルスハイマーは身長1m93cm、38歳。モーゼルの黒猫で有名なツェルにほど近いライルReil村の醸造所メルスハイマーで父とワイン造りを営む。ガイゼンハイムを卒業して1995年に実家に戻ってから畑をビオに転換。平均収穫量は35hl/haとかなり低い。 クリーン、張りのある綺麗なフルーツ感にヨハニスベーレのエッセンス的甘み。QbAながらアウスレーゼ並みに完熟していたようだ。先入観だと思うが、出来のいいビオは果実味に生き生きとした輝きがある。ほんのりとミネラル。2006年らしく完熟してアロマティックなリースリングで素直に美味しい。収穫から1年以上経たとは思えないほどフレッシュで、清澄したモストのニュアンスすら残っている。食事と一緒にグラスを重ねると次第に平板に感じられるようになったが、畑名なしのQbAとしてはそんなものだろう。優秀な生産者であることは恐らく間違いない。 ちなみに、このワインを買ったのは大学近くの住宅街にあるスーパー。数ヶ月前に酒コーナーをリニューアルして、地元の醸造所のワインを何種類か置くようになった。喜ばしいことである。 2007 Weissburgunder, QbA trocken, Wgt. Walter Rauen (8Euro) 8Euroと高かったのは、大聖堂のはす向かいのワインバー兼ワイン屋で冷やしてあったボトルを買ったため。醸造所直なら5~6Euroだろうが、2007年を飲みたかったので、やむを得ず。 アルコール感のあるボディに青~黄色いリンゴのヒント、アフタにかけて果梗の青臭い苦みがあり、後味に残るほのかな甘みもやや浮いている。メルスハイマーのような透明感のある果実味ではなく、どこかしら粗野に醸造したような印象を受けるが、これも瓶詰めのショックによるものであり、数ヶ月すると落ち着くのかもしれないが、現状ではあまり好印象ではない。醸造所の名誉のために付け加えると、ここの2006年産ヴァイスブルグンダーは非常にバランスの良い素晴らしいものであったし、リースリングもアロマティックでコストパフォーマンスに優れた造り手である。 それにしても、この苦みはどこに由来するものであろうか。マシン収穫だと果梗は枝に残るのだが、それでもダメージが果汁に出たのか。それとも収穫をポンプや機械類で手荒に扱ったのか...早期に瓶詰めするワインは、どのみち上物ではないことが多いのは確かだが。 確か2週間ほど前のFAZ Sonntagでシュトゥアート・ピゴットが興味深いことを書いていた。ファルツで聞いた話しだそうだが、2006年の二の舞-完熟後の一雨で黴と腐敗で収穫が深刻な被害を受けた-を恐れた醸造所には、完熟を待ちきれずに一部の収穫を開始したところもあるという。 昨年は記録的に早い開花ではあったものの、8月の冷夏で成熟は遅れ、当初は9月上旬の可能性もあるとされた収穫開始はじりじりと遅れ、モーゼルの場合ヴァイスブルグンダーは9月3週目ころ始まった。恐らく果汁糖度と酸度のバランスは数値上は収穫可能であることを示していただろう。だが、いわゆる生理的成熟に達していたかどうか?辛口でアロマティックなワインを醸造する場合、マイシェスタンドツァイト(破砕した収穫を一定時間果皮・果梗を果汁に漬ける操作)で香味を引き出す事が多い。赤ワインの醸造でも、果梗まで熟していないと青臭い苦みが出るという。まして赤より繊細な果汁の白はなおさらであるように思われるが、どうだろうか。 ...もっとも、モーゼルの2007年産はこれが最初の1本である。あれこれ考えてしまうのは、それだけ期待が大きかったせいかもしれないが、記録的に長期の成熟期間を達成して非常にアロマティックという前評判からは一歩引いて、今後のリリースを待ったほうがよさそうである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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