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2011/10/29
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カテゴリ:葡萄畑
モーゼルやナーエの一部生産者を除いて、2011年の収穫はほぼ完了した。
1811, 1911に次ぐ偉大な生産年となりそうだ、という声もある。

5月の遅霜や8月末の雹の被害を聞いていたのでやや意外な感じがしたが、DWIドイツワインインスティトュートの10月18日付の発表によれば総収穫量は約900万hlで、昨年の710万hlを約3割上回った。遅霜の被害がとりわけ深刻だったフランケンとヴュルテンベルクでも昨年なみに達し、モーゼルの雹も局地的な被害に留まったようである。

以下はVDPドイツ高品質ワイン醸造所が10月20日に発表した収穫情報の疎訳である。文末に原文と関連情報へのリンクを添えたので、そちらもご参照下さい。


● 申し分のない生産年

2011年は生産者にとって、まさに期待通りの年となった。クオリティに関しては酸のアクセントの効いた、ミネラルの豊かで厚みのある素晴らしいものとなりそうで、収穫量に関してもまた、非常に少なかった2010年の不足分を補うことが出来そうだ。

成長期の天候の推移に関して言えば、今年もジェットコースターのように波乱に満ちた年だった。春先の非常に暖かな天候により、開花時期はとても早かったが、続く5月に遅霜に見舞われた地域もあり、7月には雨が多かった。結果的にはこれらの条件は葡萄を順調に熟させ、いまだかつてないほど早くから収穫が始まったが、申し分のない晩夏で収穫を10月に入るまで延ばすことができた。これらの要素はヴィンテージ2011を非常に特別な生産年とした。と言うのは、生産地域や地区、葡萄畑や区画ごとに、非常にばらつきの大きい年なのである。優れた醸造所では、その品質基準を余裕で満たす高品質なワインに仕上がりつつある。「完熟した収穫の高品質な生産年となった。伝説的な『11年もの』-1811と1911-に匹敵するかどうかは、来年の新酒試飲会までわからない。だが、可能性は十分にあるだろう」とVDPドイツ高品質ワイン醸造所連盟会長のステッフェン・クリストマン氏は言う。


● 早熟な生産年の調和のとれたエレガントなワイン

収穫を終えた後、明確な個性の高品質なワインが樽の中で発酵中だ。葡萄の品質はごく一部の例外を除いて非常に良好だ。すべての品種が見事な秋の天候の恩恵を受けて、良い結果となった。初期のボトリティスと腐敗の兆しは、本収穫前にタイミングよく除去された。収穫を始めたころの生産者の不安と疑念、そして緊張は、好天が続き見事に完熟した収穫を続けるうちに、再び素晴らしいワインを造ることができるのだという確信に変わった。手作業で房を選りすぐる作業は、健全な収穫を得るために欠かせなかった。長引く収穫のうちに葡萄は完熟に達し、そうして見事な辛口とすくなからぬ高貴な甘口を収穫することが出来た。平均果汁糖度は85エクスレから100エクスレを超えるものもあり、VDPに加盟している生産者はおしなべて満足している。中には収穫の最後に非常に素晴らしい宝物、つまり300エクスレを超えるようなトロッケンベーレンアウスレーゼを収穫した醸造所もある。香りの面でも乾燥した晩夏は葡萄品種にかかわりなく見事な成熟をもたらし、その瑞々しさ、芳しさ、果実味と調和は非常に良い。発酵果汁は現時点(10月19日)でとても澄んで繊細なフルーツ感で、エキストラクトと豊かな香りに満ち、張りつめたボディと甘味と酸味の戯れ、そしてミネラル感に富む。2011年の特徴は、葡萄畑や品種による酸味の差が非常に大きい産地もあれば、そんなこともなく酸味と甘味がうまく自然に調和した産地もあることだ。しかし、たとえ軽くてアルコール濃度12%以下の早熟系品種でも、最終的には醸造家がうまく酸味を調整するだろう。

2011年産は品質的に前年に比肩しうるだけでなく、量的にも幸運なことに期待を満たしてくれた。結果的にVDP加盟醸造所全体では、2011年の収穫量には非常に満足しており、平均収穫量は50hl/ha前後で、荒天や霜を免れた地域ではそれ以上に達し、全体の8割方を収穫した時点で昨年の収穫量を超えた。非常に良い生産年となる条件は整っており、セラーでの今後の熟成が期待される。


● 2011年の生育状況について

2011年の生育過程には良い時があれば悪い時もあり、様々な状況に生産者は対応しなければならなかった。晴天で暖かな初夏と、一部の地方に中程度から大きな被害をもたらした5月の遅霜、6月から8月にかけての冷涼で湿った雨と一部で降った雹(ヴュルテンベルク、ファルツ、ミッテルライン、フランケン)と、その後の黄金の9月とめまぐるしく変わりやすかった天候は、葡萄の生育に長期的な影響を与え、2011年の特徴となった。荒天、霜、雹を免れた生産者は、2011年を理想的な生育・成熟条件に恵まれた年として振り返ることになるだろう。暖かな春先はドイツの葡萄畑で観測史上始まって以来の早い開花をもたらした。その後あたたかい天候が続き、葡萄は速やかに熟した。7月から8月前半にかけての冷涼で湿った天候でさえ、この約3週間あまりの先行状態は維持された。とはいえ、この良好な開花状況も、5月初めに一部(ラインヘッセン、フランケン、ビュルテンベルク、ラインガウ、ファルツ、ナーエ)を襲った霜による損害を補うには至らなかった。とりわけ深刻な霜の被害をうけたのは、大抵は斜面の麓にある畑や低地、盆地、そして1960年代から70年代にかけて開墾された葡萄畑で、冷たい空気が溜まりやすい場所だった。それに対して、2010年の過酷な天候条件にもかかかわらず熟したような条件の良い優れた畑では、今年もまた良い結果をもたらした。早い時期の開花は生産者に最上の収穫のタイミングまで待つ余裕を与えた。湿って冷涼な7月半ばから8月半ばにかけて成熟速度は緩まり、約3週間だった先行状態は約2週間となった。

それでも2011年の9月、いまだかつてないほど早い時期に始まった収穫は、記録的な猛暑に襲われた2003年よりも早かった。9月の収穫期、天候の神様は生産者に味方した。一年の締めくくりにふさわしい晩夏の天候で、ほとんどすべての生産地域でゆっくりと落ち着いて収穫することができた。冷涼な夜と暖かな日中で収穫作業を急ぐこともなく、とりわけグローセス・ゲヴェクス用のブドウは理想的な成熟に達することができた。


VDPドイツ高品質ワイン醸造所連盟の発表(ドイツ語)
http://www.vdp.de/nc/de/presse/presse-detailseite/article/jahrgang-2011-ein-jahrgang-mit-weinen-nach-mass/?tx_ttnews%5BbackPid%5D=9&cHash=dd6437aebc

VDPドイツ高品質ワイン醸造所連盟の発表(英語)
http://www.vdp.de/nc/en/press/press-detail/article/jahrgang-2011-ein-jahrgang-mit-weinen-nach-mass/?tx_ttnews%5BbackPid%5D=9&cHash=1f9382b796

DWIドイツワインインスティトュートによる各生産地の収穫結果報告(ドイツ語)
http://www.deutscheweine.de/Home/presse?uMen=eb8708fd-e785-7401-be59-267b48205846&sel_uCon=d73282bd-8161-331d-efcf-42506f135e25&uTem=d5304ee7-4f03-d212-517b-6624c41ed8b2&pagesize=10&page=1&all=true

DWIドイツワインインスティトュートによる収穫結果報告(英語)
http://www.deutscheweine.de/icc/Internet-EN/nav/796/presse?uMen=cec1c412-768a-401b-e592-6461d7937aae&sel_uCon=24470f0b-1c9c-1331-2856-024506f135e2&uTem=d5304ee7-4f03-d212-517b-6624c41ed8b2&pagesize=10&page=1&all=true





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Last updated  2011/10/29 11:30:27 PM
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2007年並の成果?   pfaelzerwein さん
「モーゼルやナーエの一部生産者を除いて」に関しては数年間の経験値からも分るのですが、この時点で残していると言うのはやはり目的が異なりますね。棋譜ワインでもアイスヴァインがどれほど収穫するかですよね。

私が現在までに見聞きした情報では、酸は弱いが腐らせなかった葡萄では2007年並の成果が得られたと言う感じです。さらに2010年産の物不足から、早く瓶詰めされる単純なものからグローセスゲヴェックスまでスペクトルが広い多彩なワインが提供されそうです。恐らく日本市場での販売量も増え評価も上がる年度と思います。 (2011/10/30 02:02:22 AM)

Re:2007年並の成果?(10/29)   mosel2002 さん
pfaelzerweinさん

>私が現在までに見聞きした情報では、酸は弱いが腐らせなかった葡萄では2007年並の成果が得られたと言う感じです。さらに2010年産の物不足から、早く瓶詰めされる単純なものからグローセスゲヴェックスまでスペクトルが広い多彩なワインが提供されそうです。恐らく日本市場での販売量も増え評価も上がる年度と思います。

情報ありがとうございます。日本市場ではそうなると良いと、私も思います。
(2011/10/30 09:57:46 AM)

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mosel2002@ Re[1]:ひさびさのドイツ・その54(03/14) pfaelzerweinさん >私の印象では2013年…
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