昨日は久し振りに一昨日飯田で採ってきたマツタケを持って家へ帰った。女房のご機嫌も一辺に治る。
でも、家へ帰ると警察から呼ばれることが多い。昨日も丁度寝付いたころに23時半ころ、起こされた。西浦で87歳のお婆さんが庭で倒れて死んでいたという。後頭部に3cmくらいの割創がり、出血が多量にあったという。
10月7日に大分で日本警察医会があり、頭部の3cmの割創で失血死した1例を演題発表することになっている。そのケースでは血液疾患が合併しており、血液が固まらず小さな創でも死ぬまで出血したというケースであった。また、同じような症例かなと思って、警察署へ行ってみると、事件の可能性もあるので、刑事課長と副署長も来ていた。
高血圧、糖尿病などで、市民病院内科に通院中で、カルテを見てみると、パナルジンという薬が出ていた。抗血栓薬であり、血液を固まりにくくする。これを飲んでいると出血が止まりにくいのは納得できる。
家族が午後3時ころ見て、午後5時半にお祖母さんがいないのに気づき、探していたら、庭の隅で倒れていた。近くに鎌が落ちており、草の刈った痕もあった。庭のすみにはごつごつした石が置いてあり、転んでそのカドで打ったらしい。
死体所見は顎と下肢に硬直が出ており、結膜は貧血状で、死斑ははっきりしない。臀部に転んだときにできた擦り傷と後頭部の割創以外には外傷はない。割創は骨まで達していたが、陥没骨折などはなかった。でも後ろ向きになぜ思いっきり転んだんでしょう
念のために髄液を採ってみました。髄液はクモ膜下腔を流れる透明な液体です。最初後頭下穿刺をしてみると、ほとんど血液そのものという感じのものが引けてきました。たまに静脈叢に当たって、血液が引けてくることもあるので、場所を変えて、腰椎の方で2ヶ所穿刺してみました。どちらも血性でした。多量のクモ膜下出血です。80%くらいは、脳底部の小さな動脈瘤の破裂で起こります。脳底動脈瘤が破裂すると30%は即死です。バットで殴られたようなと表現される激しい頭痛に襲われて、意識をなくします。ぎっくり腰の時に使われる言葉ですが”魔女の一撃”と言ってもよいでしょう。
それで、話が出来上がりました。つまり、このお婆さんは庭で草刈りをしていたら、急に激しい頭痛がして、意識を無くし、後ろ向きに防御することなく倒れてそこにあった石のカドで思いっきり打って割創ができた。パナルジンを内服していたために、心臓が動いている間は出血が続いていたというわけです。
今朝はSさんと昭和の森にキノコを見に行って来ました。
カバイロツルタケと、
小さなマツオウジがありました。