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2009.02.06
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テーマ:読書(8199)
カテゴリ:読書:日本

狂王ヘロデ
(曽野綾子著、集英社文庫)

 キリスト生誕直前に、ローマの属国としてではあれ、目覚しい繁栄を見せたユダヤ王国。その立役者がこの小説の主人公、ヘロデ王だ。歴史上有名な「嬰児虐殺」を命じた王であり、洗礼者ヨハネを処刑したユダヤ王ヘロデ・アンティパスの祖父に当たる人物である。弟妹、幾人もの妃とその子供、孫たちに取り巻かれ、華やかな宮殿に住まって権力を振るう王としての彼は、しかし、親族の誰にも信をおけない。誰もが己の権力を虎視眈々と狙っているという観念にとり憑かれ、我が子さえをも次々に謀殺する“狂王”となっていくのである。
 そんなヘロデ王の側にあって、竪琴の音で王の心に安らぎを与えた少年が、この小説の陰の主人公。主要登場人物のほとんどは実在の人物だが、この少年は作者が創作した人物だ。口が利けない(その上、耳も聞こえず文盲だと思われていた)彼ゆえに、王も心を開くことができたのである。洞穴で生まれたことから「穴」と名づけられたその少年の眼を通して、私たち読者はヘロデ王の素顔の苦しみや悲しみを知ることになる。
 見事に構成された物語に、緻密な調査研究の賜物であろうリアリティが付与された、非常に魅力的な歴史小説。紀元前のユダヤが生気を持って蘇ってきたような気持ちにさせられた。





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Last updated  2009.02.06 12:08:20
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