【星月夜の夢がたり】文・光原百合　絵・鯰江光二

遠い昔の思い出や、幼い頃に聞いたお伽噺、切ない恋の記憶…。夢のかけらのような３２篇の小さな物語を、ファンタジックなイラストで彩った、宝石箱のような絵本。

「みぃつけた」「ふしぎな図書館」に続き、今日紹介するのは「星月夜の夢がたり」。
最近は妙に絵本に魅せられているnanacoです

光原百合さんの作品は「銀の犬」を読んでから、すっかりその幻想的な世界の虜です。
何しろこの美しい世界に触発されて、ペンタブ画まで描いてしまったぐらいですから…（笑）

　レビューは こちら 　　　ペンタブ画を見てみたい方は… こちら （笑）



この作品は３２の短編から成る絵本です。
星夜の章、月夜の章、夢夜の章の３つに大きく分類されています
どれも、ほんのちょっと異世界へ足を踏み入れたような素敵なお話ばかり

どの作品もショートショートと呼べるほどのごく短いお話なんですが、
たった数ページでこれだけの世界を広げられる光原さんってスゴイわぁ。。。

「春ガキタ」「目覚めの時」などちょっと不思議で心が温かくなるようなお話もあれば…
「無言のメッセージ」「天馬の涙」みたいに切なくて思わずホロリとしてしまうお話もあり…。
「耳なし芳一」「かぐや姫」など馴染み深い昔話を違う視点から捉えたお話もあります。

個人的にはギリシャ神話を彷彿とさせる「天馬の涙」が一番好みでした
大好きな「銀の犬」の世界観となんだか通じるところがあって… （特に「恋を歌うもの」に似た雰囲気かも？）
光原さんには是非この題材で長編小説を書いてもらいたいです（笑）

また鯰江さんの挿画がお話とマッチしてて素敵なんですよ
それはそれはとても幻想的で、まるで宝石箱をひっくり返したような煌きのある絵なの。
どの挿画も素晴らしいんだけど、「かぐや姫の憂い」の絵には思わず見とれちゃいました。

「外の世界にどれほど嵐が吹き荒れていようとも　ここには静かな世界がある」
（夢夜の章、「遥か彼方、星の生まれるところ」より）


すご～く気に入った言葉。

ファンタジーの世界は決して単なる現実逃避じゃないんだよね。
現実では嫌なことだらけでも、必ずいつかは向き合わなくちゃいけない。

私にとって、ファンタジーとは次のステップへ進むための、一時の「安息の場」です
だって、実際にこういう素敵な作品に出合ってパワーを貰うことってたくさんあるから