奥出雲醤油、山の幸、絲原家、紅葉
山々を超えて、たたら製鉄の出雲の國・奥出雲にやってきました。短いですが、万の神々を感じる旅です。私がこれほどまでに奥出雲に惹かれる理由。「日本昔話」「大蛇」「良質の水と豊富な物産」「日本刀」「日常生活で神と寄り添っている地元の人たち」などなど魅力をあげると枚挙にいとまがないのですが…。時が止まったかのような、懐かしい古き良き日本…。「たたら」という言葉はもともと「ふいご」を意味し、「踏みふいご」で鉄を吹くことから、後にその製鉄法全般をさして「たたら」と呼ぶようになったそうです。アニメ映画「もののけ姫」で描かれるたたら場は奥出雲地方のたたらをモデルにしていると言われています。たしかに、もののけを感じますよ。ものすごく。たたら製鉄は、優れた鉄をつくるだけではなく、原料となる砂鉄を採取した跡地を広大な田畑に再生して利用し、良質の蕎麦や米が生産されるようになりました。(これがすごい!)「出雲そば」や「仁多米」はたたら製鉄によって育まれたということです。また、大量に消費される木炭を供給する森林を永続的に循環利用するなど、自然と共生する形で鉄づくりがおこなわれてきました。現在では、奥出雲町大呂の「日刀保たたら」(文化財保護法の選定保存技術に認定)で、年に1回操業し、100%日本刀用に使われるそうです。こういった「出雲國たたら風土記 〜鉄づくり千年が生んだ物語〜」は日本遺産に登録されています。(日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じ、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定し、有形・無形の様々な文化財群を総合的に活用するもの。) 「しまね観光ナビから抜粋」さて、まずは、日本でも数少ない伝統醤油製法を忠実に守っている森田醤油に見学です。森田社長自ら醤油についての講義を1時間ほど拝聴。頼もしい!お人柄の良さがにじみ出ている、ニコニコ笑顔がとっても素敵な社長さんです。醤油の構造、原材料、味と香りの特徴、調味方法などを詳しく説明してくださいます。醤油を作るとはいっても、ほとんどが手作業ですので、大変な時期も多々あるそうです。ご苦労話を聞いていると、しんみりしてしまうのですが、森田社長さんは笑顔で「遊んでいますから」と一言。真面目一辺倒だけだと身も心も疲れ切ってしまうような大変な作業です。遊び心をもっていないと、続けていくことはできないし、続かないと上質な醤油はできないわけで、この社長さんがいるからこそ、他の社員と団結して美味しい醤油が造れるんだと改めて感心しました。本当に素敵な社長さん。醤油の使い方や麹や甘酒についてなどの目から鱗の情報満載。生と熟成、再仕込み、ポン酢醤油などの味見体験が面白いです。そして、こちらの甘酒は特にお勧め。冷凍保存しなければならないので、こちらに来ないと購入はできません。通販はできますが。最近は、高級料亭やデパート、らでぃっしゅぼーやのような自然食のお店からも引っ張りだこだそうです。そういえば、昨年来た時よりも販売先が増えていました。応援しています!!この後、大呂神社、産湯、笹の宮、稲田神社コース。ちなみに、今は新蕎麦の季節なので、こちらの「ゆかり庵」には人がごった返しでした。この後、今回特別に私たちのためにお店を開けてくれました「たち花」さんで昼食です。前日、境港で海の幸でしたが、ここ奥出雲では何といっても山の幸が豊富です。こちらの料亭では、他ではあまり見ることのない食材を使ったり、できる限り地元奥出雲産を使うというこだわりぶりです。太刀魚の刺身、出雲和牛と無花果、柿の天婦羅、アユの甘露煮(8時間煮たそうです)、イノシシの燻製、ホタテのひも、フォアグラのスクランブルエッグキャビア乗せ(絶品)、マツタケと仁多糯米のすまし汁(繊細で優しい味)、大根のたいたん(何の魚か忘れましたが、いくらがぷりっぷり)、地元無農薬キャベツと大根の寿司(もちろん仁多米。美味しすぎる…)、最後に、100%奥出雲蕎麦で大将が自ら打った新蕎麦です。(奥出雲産は産量が少なくとても貴重です。)こちらのお醤油ももちろん森田醤油さんです。最後の最後で紅葉を満喫することができました。松江藩鉄師頭取の館「絲山家居宅・庭園」奥出雲たたら御三家のひとつである絲原家に行くことができました。約400年の歴史をもつ絲原家の現当主は15代徳康です。16代目が丁寧に案内をしてくださり、当時のたたら製鉄について興味深いお話が聞くことができます。奥出雲の山々を借景とした庭園は、全庭1,188㎡(約360坪)、この中に72㎡(約22坪9の池泉を有する池泉回遊式の出雲流庭園です。この場所は元はたたらの原料の砂鉄を採取した跡地で、江戸時代末年頃から築庭にかかり、約50年後の明治時代中頃に完成したものです。その特徴は書院前の飛び石組手法(細長い短冊石と丸い石の組み合わせ)にあり、これは大名茶人・松平不昧が京都より招いた庭師・沢玄丹が考案したものといわれています。「絲原記念館HPより」特別に中にも入らせていただきました。ああ、素晴らしい眺め。庭園の紅葉も、池の鯉も心が現れます。他にも、奥出雲バーガーや松葉屋などにもちゃんと回っています。今回は時間の関係で道の駅には寄れませんでしたが、各店でちゃんとお土産はゲットできました。心もお腹も大満足な旅でした。アテンドしていただいた「青木先生」の強力な人脈によって、今回も特別な旅となりました。本当にありがとうございました。そして、企画、準備などを率先して担当した母にも感謝感謝です。