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 NOB1960@ Re[1]:無理矢理持ち上げた結果が…(^^ゞ(10/11) Dr. Sさんへ どもども(^^ゞ パフォーマン…

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2014年04月01日
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生放送が終わり、共演した人やスタッフに挨拶をして、次の現場に向かおうとしたら楽屋に呼びこまれた。

「この後は?」
「リハに行きます。明後日のだけじゃないんで」
「明日も出るんだろ?」
「1曲だけですが。あとはつなぎをやれと言われてます。中継待ちだそうで」
「感謝祭か?」
「らしいですね。あちこちにいい顔しないといけませんし」
「…いやか?」
「いえ?チャンスの前髪に手を伸ばさないなんてないです。ただ、伸ばさないといけない場所が多すぎると忙しなくなって却って失礼なことになりそうなのが怖いですね。私だとフランクになり過ぎるから」
「それくらいが丁度いい。あまりにも熱心に言うと白々しい。絶対に違うだろって言うのは逆効果だが、適度につれなくするのは心に引っかかる。それが本音に見えればな」
「…見えてますか?」
「砕けた口調だからコロッと行く。わかってるくせに」
「どうなんですかね?自分ではわかりませんから」
「ふん…ところで、マジに今日は何でお前なんだ?」
「事務所NGです。2日間で70曲も歌うからテンションがおかしくなっています。収録ならいいんですが、生だととんでもないこと言いそうじゃないですか。民放だったら笑いで済みますが」
「そうか?」
「あなたがいるから変に安心しちゃうし、朝だから半分眠っているし、そもそも変なこと言うじゃないですか?さっきだって最後に…」
「お前が急に来るからだ」
「好きで来たわけじゃありませんよ。明日の出番がさほど多くなくて、それなりに名前も知られているからです。でも、私だから言いやすかったみたいですね」
「どうだか」
「何でもかんでも代役にするのはほどほどにしてほしいですね」
「ほどほど?」
「私だけじゃないですよ。まぁ、それで幅が広がったのも確かですから」
「やむをえまい。出せるものとそうでないものがあるからな」
「内容次第?」
「一番は誰が、ってことだ。子供はNGだ」
「…大人になりきれない子供?」
「大人になりたくない子供だな」
「そのくせ背伸びをしたがる?」
「自制心が足りないだけだ」
「あら、手厳しい」
「自分の置かれている立場を弁えていればやるわけがない。お前がそうだったように」
「…清廉潔白でしたから?」
「ストイックだからな。ネタがなくて苦労した」
「昔話とか?」
「あんなガセに食らいつくとは思わなかった。ガセをガチに見せるお前の演技がよかったのか?」
「ガセをガセだと言ってるだけです。そういえばそういうほどガチだと思いたがる。私は全然信じてもらえないからやむなく話を合わせる。いい加減にしてほしいんですが、そこしか弄れない人もまだいるし…」
「たまにしか会わない芸人だとそれしかできない。古臭いカビの生えたネタで笑いがとれると楽をする。新しいネタを作ろうとしないからな」
「仕方ないですよね。鉄板ネタなんてそうそうできるわけもないし…」
「で?」
「私は巧く行きました。あの娘は無茶やったけどどうにか持ち直した。今度の落としどころはどこに?」
「どこかなぁ?」
「手なりですか?」
「これまでもずっとそうだ。何かを目指して動かそうとするとおかしなことになる」
「でも、カムフラージュは?」
「当面の目標は子供を守ることだ。子供を庇うために大人になりかけなのを差し出す。差し出された方はそれをいかに生かすかという試練を乗り越えれば生き残る確率が高くなる」
「汚辱に塗れながらですか?」
「人としては当たり前のことをしてても許されない。アイドルはいつまでもやれるわけではない。ならば次のステップを先取りするのも悪くはない」
「…けど、なかなか乗り越えられない?」
「巧く行っているのはお前くらいだからな。昔話だったし、生臭くはなかったし…」
「十分酷い内容でしたが?」
「あんなのを信じる方がおかしいんだ。そんなおかしいのは無視すればいい」
「…あの人はわかってやってるんですか?」
「もちろんだ。自分の言動が矛盾していることに嘆いている。騙す努力をしないから嫌いだ、と言ってるだけだろ?」
「私は逆な意味で騙しているんですけどね」
「それが面憎いんだろう。ヲタに友達がいたくらいで大騒ぎするヲタどもにも嫌気がさしているが、そういう子供じみた態度をやってる自分もわかっている」
「今回はわざと?」
「そうではないが…まぁ、アホな連中がまとわりついてくるからな。武勇伝の9割がたはホラ話なんだが、ホラ話をガチだと信じ込むアホも多い。あいつもやり過ぎたのは間違いないし」
「やり過ぎですか?」
「釣りに行って靡かないと意地でも釣り上げようとしすぎる。今度のはそれにつけ込まれた。適当なところを引くことも覚えればもっと釣れるのに」
「そっちですか?」
「慣れているようでいてまだまだ子供だからな。痛い目にあって覚えるしかない」
「…乗り越えると思いますか?」
「余裕だろ?大人はあれがガチだと思っていない」
「…そうなんですか?」
「ガチだったら出る前に抑えるし、乗り越えられないようなら代役を立てる」
「…私みたいなのを?」
「そうだ。あの時はかなり拙いネタだったからな。あれで事務所との信頼関係が一気に崩れた。当人にもお灸を据えた」
「…かなりキツイお灸でしたよね」
「…音をあげたけど辞めるわけにもいかず踏ん張ってるが、そろそろ折れるかな?」
「…怖い人だ」
「代役がこんな風になったのを見たら複雑だろうな」
「…かもしれませんね」
「脇の甘いのは結局は辞めることになる。すぐに辞めるか、針の筵に耐えてから辞めるかの違いだが、代役を立てた奴は辞めるに辞められない。まぁ、あそこはそろそろいなくなるかもしれないが…」
「上が悪いからですか?」
「そうだ」
「…怖いですね」
「あのせいで下の連中がどこにも出せないでいる。困ったもんだ」
「…そうですね。あ、そろそろ…」
「…追加分のネタは固まったか?」
「…今練っています。…では、私はこれで」

私は楽屋を出てリハーサルに向かった。





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最終更新日  2014年04月01日 12時14分16秒
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