カテゴリ:西洋史関連(外国語書籍)
Jacques Berlioz et Marie Anne Polo de Beaulieu (dir), L'animal exemplaire au Moyen Age ― Ve - XVe siecle, Presses Universitaires de Rennes, 1999 中世の「例話」exemplaについて研究を進めている二人の研究者、ジャック・ベルリオズとマリ・アンヌ・ポロ・ド・ボーリューの監修による論文集です。ロベール・ドロールの『動物の歴史』や、ミシェル・パストゥローによる動物の象徴に関する論考などを読んできて、西洋中世の動物について関心を持ち始めてから、ずっと気になっていました。 本書の構成は以下の通りです。 (*著者名は、アルファベット表記にしています) (*諸論文のタイトルは試訳を示しましたが、不適切なものもあるかもしれません。気付いたら修正します) (*本書にはありませんが、便宜的に1~17の通し番号をつけました) (*既読論文については記事を書き、リンクをはります) ーーー 前書き(Jacques Berlioz et Marie Anne Polo de Beaulieu) 1.動物と中世史家(Michel Pastoureau) 第1部 西洋から東洋へ 2.獣性と世俗の軽蔑―5世紀から11世紀(Jacques Voisenet) 3.模範的動物と環境の文化―恒常性と変化(Gherardo Ortalli) 4.修道院の聖人伝における動物たち(Pierre Boglioni) 5.イスラムの奇蹟物語における模範的動物(Cathorine Mayeur-Jaouen) 第2部 「動物のレトリック」 6.スコラ学的思考における動物(Alain Boureau) 7.ジャック・ド・ヴィトリ(1240年没)の動物誌(Claude Bremond) 8.中世のラテン語百科全書における動物の寓意(Baudouin Van den Abelle) 第3部 模範的性格のベクトル 9.「例話」集における動物の良き利用(Marie Anne Polo de Beaulieu) 10.13世紀における聖書のアルファベット順「語釈」(Distinctiones)集のなかの動物たち(Franco Morenzoni) 11.中世百科全書における模範としての動物―『事物の性質に関する書』における倫理と「自然主義」(Bernard Ribemont) 12.「模範的」動物たちと教会法―ギョーム・ブノワ(1455-1516)による教令Raynutius注解(Patrick Arabeyre) 第4部 活動する動物 13.自然を狩る…―中世文学における猫の模範的活用(Laurence Bobis) 14.金の財布を持つ猿(Colette Ribaucourt) 15.臆病と怠惰、処女の観念と復活の観念―中世カタツムリの対照的なイメージ(Marie-Francoise Cranga) 16.ヒキガエル、悪魔的な動物―中世のある象徴体系(Jacques Berlioz) 17.結びに代えて―動物、環境、模範的な両義性(Robert Delort) 寄稿論文レジュメ 著者紹介一覧 索引(引用された動物たち) 索引(著作家、芸術家、逸名作品、手写本) ーーー 二人の監修者による「前書き」について、ここで付記しておきます。 中世の動物に関する研究は、近年多様になってきています(1章のパストゥロー論文参照とのこと)。そんな中で、人間と動物の関係に関する一つの側面―「模範的動物」に関する研究を深める必要があると、監修者はいいます。本書の目的は、いかに動物が教化的・道徳的な論説に役だったかを分析することにあります。 なお、本書をざーっと見る限り、図版はないようです。ちょっと残念ですが、私は16章の主人公となるような陸上軟体動物は全てだめなので(あれらを見るともうなんか生きている意味ってなんだろうというか、嫌な気持ちという言葉では表現しきれないものすごい気持ちになります…カタツムリはまだ名前がいえますが、もう一つのは名前を言うのも見るのも嫌です)、あれらの図版がないのは幸せでした…。 また本書全体を通読できたときには(はたして何年後になるでしょうか…)、ここにまた全体の印象も書きたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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