有栖川有栖『狩人の悪夢』
~角川文庫、2019年~
火村英生&作家アリスシリーズの長編です。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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ホラー小説『ナイトメア・ライジング』で大成功をおさめた作家・白布施正都と対談することになった有栖川有栖は、白布施の誘いで、その担当編集者江沢とともに、「必ず悪夢が見られる」という部屋がある彼の自宅に招待された。近所のオーベルジュの食事もおすすめという。
訪問し、楽しい時間を過ごしていた有栖川だが、翌日、2年前に亡くなった白布施のアシスタントが暮らしていた家で、女性が殺されているのが発見される。アシスタントの知り合いで、遺品を整理するために訪れていた女性だった。現場には、大きな掌の跡が残されていた。
被害者をストーカーしていた男による犯行と、単純なものと思われた事件は、捜査が進むにつれて複雑な様相を呈していく。
火村英生も合流し、有栖川たちは真相解明に奔走する。
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久々の火村先生シリーズの長編で、楽しく読めました。
途中、「こういうことではないか」と気づいたこともあったのですが、そこから真相まではたどり着けませんでした。とまれ、気づきがあった分、真相解明にもっていく流れがあらためて鮮やかだと感じました。
密室やアリバイなど、大掛かりなトリックはありませんが、「なぜこうしたのか」といった点も含めながら、「誰が犯人なのか」の解明を楽しめる作品です。
(2020.11.03読了)
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