ちょびっと日記*岡崎*

戻らない話の続き。

骨格筋は、決して単独では働かない。

その骨格筋が付着している複数の
骨格の位置を制御する、さらに
複数の骨格筋と、さらにさらに
遠く離れた、直接的にはまったく
つながっていないほかの多くの骨格筋と
力を伝え合いながら同時に働きあう
（どんなに離れていても、筋肉の力は
　互いにどこまでも伝わりあっている）。

伸びる場合であっても、骨格筋は自分と引き合っている
多数のほかの骨格筋と引き合いつつ、
骨格の位置変化（ひじを曲げるとか伸ばすとか）が
目的どおりになるよう
調節しながら自ら伸びるのであって、単に
他の骨格筋に引き伸ばされるのではない。

縮むにしろ、伸びるにしろ、単独で働くことは
不可能である。

どの場合であれ、全身の骨格筋の位置の変化や
位置の維持が全体として統一されたものに
なるよう、全身の骨格筋が一斉に引き合った
まま、自分の長さを調節する。

短い骨格筋や長い骨格筋、
さらには細いもの薄いもの、
他の骨格筋に始まるもの、などなど
さまざまな関連をもった骨格筋が
同時に、全体の目的がかなうよう
調整しあう。

それが全ての動作で行われている
（もちろん、姿勢を保つ場合も
　同様である）。

かりに、右手手首から先だけが動く
ような動作であっても、位置変化をまったく
起こさない全身の全骨格の位置を保っている
多くの骨格筋は、右手手首を動かすために
筋緊張を絶えず調整している。

つまり、動作の大小にかかわらず、自らが
起こした力であっても力は全身に瞬時に
伝わりあっている。

だから、疲労して長さが元に戻らなく
なっている骨格筋の緊張も全身の
動作や筋緊張に直接、影響を与えている。

疲労して短くなったままの骨格筋は、
目的とする動作を実現するのに最低限必要な
筋力以上の力（他の筋肉と引き合って短く
なろうとし続ける状態）を常に高く保っており、
引き合う骨格筋もいやおうなしに引き合う力を
高くして、引き合わざるをえないからである。

これも全身の骨格筋と骨格で作られる
構造体の緊張を高める。

しかし、疲労してもとの長さまで戻れない骨格筋も
その長さのままで問題が無い動作で済む間は
人間も自覚はできないままである。

しかし、短くなった影響が現れるところまで伸びると
その瞬間に限界になる。

同じ背格好の人間でも、身体が固い（実際には
骨格筋や腱、靭帯の縮み）と言われている人が、
傍目には限界からは程遠い状態で「あたたたた」
と顔をしかめるのはそのためだ。