旅先で本を読む
本好きの皆様に質問します。乗り物の中でも、観光地でもいいんですけど、旅先で読書することってありますか。いろいろな意見があるかと思います。ずっと昔、乗り物に乗ったら、何も食べず何も読まず、ひたすら車窓をながめて旅情にひたるべし、みたいなエッセイを読んだことがあります。車窓を見ないで本を読むなんて、もったいないって。また、私の尊敬する本好きの大先輩岡崎武志さんの「読書の腕前」には、見知らぬ土地で本を読む贅沢が紹介されています。わたしは旅先に本をたくさん持っていくタイプ。移動中はもちろんのこと、夜寝る前とか、時差のせいで眠れないとき、目が覚めてしまったとき、必ず本を読みます。そして、そういうときは、とてもスピードが出てどんどん読めます。私にとって、旅行に持っていく本を選ぶのも、旅の準備の一つです。さて、そんな私ですから、先月一週間カナダへでかけたときは、ちゃんと文庫本を用意していきました。私は旅先で読み終わった本は捨ててくるので、ブックオフで100円コーナーの文庫本を買います。持って行ったのは、荻原浩「誘拐ラプソディ」、乃南アサ「結婚詐欺師」、篠田節子「ハルモニア」「第4の神話」「聖域」の5冊です。飛行機の中でも読むし、ホテルでももちろん読みます。が、一番楽しみにしていたのは、カナディアンロッキー観光の中心地バンフで、雄大な山々に囲まれて、ポットに入れたコーヒーを飲みながら、公園のベンチで読書すること。せっかくの景色を見もしないで本を読むって、理解できませんか?でも、私にとっては2度とないであろう、最高のぜいたくです。幸い一週間のほとんどをバンフで過ごす旅程です。本を読む時間はじゅうぶん取れそうです。そして、飛行機を三つ乗り換え、バスに揺られ、到着したバンフは、雄大な山々、美しい川、広々とした公園、本を読むのにちょうどよさそうなベンチも随所に置かれ、夢のような読書環境です。しかし、私はホテル以外の場所で、全然本が読めませんでした。9月のはじめというのに、バンフは大雪で、ベンチは半ば埋もれていたんです。雪をかぶった山々はほんとうに美しく、雪道を歩いていると、エルクという鹿の家族が目の前を横切っていくというラッキーに出会いました。これはこれでとても楽しい経験でしたが、本が読めなかったことは残念でした。とはいえ、持って行った5冊のうち3冊は読了して、バンフのホテルで捨ててきましたが。この次の旅行でどこに行くのかは、まだわかりませんが、きっとこの次も文庫本をいっぱい持っていこう。できれば、乗り物の中でもたくさん読めるよう、遠いところがいいなあ・・・次の旅行の読書をたのしみにするぱぐらなのでした。