カテゴリ:音楽
エブリシング・バット・ザ・ガール(Everything But The Girl、以下「EBTG」と略す)。トレーシー・ソーンとベン・ワット、1984年にデビューした英国の夫婦デュオ。
CDショップでは一応、ロックに分類されているEBTGだが、その音づくりは特定のジャンルに収まらず、ジャズやフォーク、ポップス、ボサノバなど、様々な香りをミックスしたような、不思議なサウンド。 アコースティックな雰囲気とエレクトリックな味わいをうまく融合させた演奏は、とても洗練されていて、かつシンプル。そんな演奏に乗ったトレーシーのアンニュイな歌が、少しけだるい雰囲気もあって、心地よい。 何がきっかけで、このEBTGを聴き始めたのかはよく覚えていない。たぶん、FMでかかっていたのを聴いて、すぐにCDショップに走ったのだと思う。それくらい、僕にとっては心惹かれるサウンドだった。 最初に買ったのは、88年発表の「アイドルワイルド(Idle Wild)」(写真左上)。様々なワールド・ミュージックの香りをにじませながら、シンプルな音にこだわったアルバムは、それまでのどのグループにもないものだった。 休日の昼間、何にもせずにただゆっくり、のんびりと過ごしたい時や、メランコリックな気分に浸りたい時などに、まさにぴったりの音楽。「ヒーリング・ミュージック」なんて言い方を最近はするけれど、EBTGはその先駆けだったような気もする。 次に買った90年発表の「ランゲージ・オブ・ライフ(The Language Of Life)」(写真右上)は、EBTG初めての米国録音なのだが、まさに珠玉の曲ぞろい。僕はひと頃、毎晩のように繰り返し繰り返し、連れ合いから「よく飽きないわねぇ」と言われるほど、このアルバムを聴いていた。 駄作が1曲もないというアルバムって、滅多にないものだが、これはロック史上でも、そんな1枚だろう(クロスオーバーな音づくりが売りのEBTGを、ロックというジャンルに含めるのは若干抵抗あるが…)。(写真左=93年発売のベスト・アルバム「Home Movies」) 曲も演奏もいいが、バック・ミュージシャンが凄い。スタン・ゲッツ(テナー・サックス)、マイケル・ブレッカー(同)、ジョー・サンプル(キーボード)、オマー・ハキム(ドラムス)、ジョン・パティトゥッチ(ベース)等々、そうそうたるメンバー。 ETBGはその後のキャリアで計15枚のアルバムを発表。個人的には復活を信じて、何度もアルバムを聴き続けた。だが、やはりこの「ランゲージ…」の大ヒットがかえって重圧になったのか、残念ながら、「ランゲージ…」を超えるアルバムは生み出せなかったと思う。 個人的には、92年の来日公演を見られなかったのをとても後悔している。トレーシーのヴォーカルとベンのアコースティック・ギターに、ベース、サックス、キーボード、ドラムスの計4人のバックバンドだけというシンプルだけれど、素晴らしいコンサートだったという。 90年代前半はおそらく、EBTGが一番乗っていた時期だったろう。返すがえすも、見逃したのが残念でならない。最近は、ベスト盤やリミックス盤「Adopt Or Die」(写真右)=05年発売=を出したくらいで、オリジナル・アルバムは96年以来、もう10年も音沙汰がない。 トレーシー、ベンはともに1962年生まれの44歳。引退するような歳でもないし、音楽活動をやめたという話も聞かないけれど、どうしてしまったのかなぁ…? こちらもぜひ見てねー!→【人気ブログランキング】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[音楽] カテゴリの最新記事
|
|