エッピンガーのオリジナル・レシピは、ドライ・シェリー4分の3、ドライ・ベルモット4分の1、オレンジ・ビターズ1dashと伝わっていますが、ハリー・マッケルホーンの「Harry’s ABC Of Mixing Cocktail」(1919年刊)はなぜかシェリーとベルモットが等量のレシピです。
エッピンガー=考案者説の根拠としては、ウィリアム・ブースビー(William T. Boothby)という人が、1907年に著した「The World Drinks and How to Mix Them」に「…Originated and named by Mr.Louis Eppinger, Yokohama, Japan」との記述が見られる(洋酒ライター・石倉一雄氏情報)ことや、「1901年の段階ですでに日本から米国西海岸に伝わっていたことは、当時の文献からも確認できる」(石垣憲一氏の著者「カクテル ホントのうんちく話」=2008年刊=や米国の専門サイト情報)ことなど、さまざまな裏付け資料がこれまで紹介されています。
しかし、マッケルホーンは、なんと別の説を紹介しているのです。バンブーの項の末尾に、「ホフマン・ハウス(The Hoffman House)のチャーリー・マハニー(Charlie Mahoney)が1910年に考案した」と書いています。チャーリー・マハニーは、ニューヨーク・マンハッタンの有名な社交クラブ、ホフマン・ハウスのチーフ・バーテンダーとして当時著名だった人で、オリジナル・カクテルもいくつか残しています(写真 =Bamboo@ Bar K)。
「マハニー=考案者」説は、欧米の他のカクテルブックやHPでもいくつか見られます。例えば、「(マホニーが)Bob Coleが1902年に発表した“Under The Bamboo Tree”という歌からヒントを得て考案した」と紹介する本(Mittie Hellmich著 「Ultimate Bar Book: The Comprehensive Guide To Over 1000 Cocktails」=2010年刊=ほか)や、「マホニーが考案し、インド在住の英国人にもとても人気があった。“リフォーム・カクテル”という別名もある」と記すサイト(Savoycocktails.appspot.com)などです。