(1)1944年、サンフランシスコ近郊、オークランドのレストラン・オーナーだったヴィクター・J・バージェロンが考案した(出典:Wikipedia英語版ほか多数。※Victor J. Bergeronの名前の読み方は、日本では「バーロジン」と表記している文献が多いですが、綴りからすると誤記と思われます。本稿では原音に近い「バージェロン」と表記します)。
カクテル名の由来について、バージェロン自身がその著書「Trader Vic's Bartender's Guide」(1947年刊)の中で、以下のように説明しています。
「私は自分が考案した新しいカクテルの最初の2杯を、たまたまこの日、タヒチからレストランに来てくれた私の友人夫婦、ハム&キャリー・ギルドに飲んでもらった。キャリーは一口飲んだと同時に、『マイタイ ロア アエ!(Mai Tai Roa Ae)』=タヒチ語で「この世のものならず、最高!」の意味=と叫んだ。私はその『マイタイ』という言葉を、そのままカクテルの名前にもらった。『マイタイ』は評判を呼んで、その後数年のうちに、カリフォルニア州全域やシアトル(のレストランやバー)で普及していった」
(2)1933年、ハリウッドのレストラン&バー経営者(オーナー・バーテンダー)、ドン・ザ・ビーチコマー(Don the Beachcomber、本名アーネスト・レイモンド・ボーモン・ガント Ernest Raymond Beaumont Gantt 1907~1989)が考案した(出典:Wikipedia英語版ほか)。
ご参考までに、1960~80年代の欧米のカクテルブックでマイタイのレシピをいくつかみてみましょう。
・「Mr. Boston Bartender's Guide(ミスターボストン・バーテンダーズ・ガイド)」(1965年版)米
ラム60ml、キュラソー30ml、オルジェート・シロップ15ml、グレナディン・シロップ15ml、ライム・ジュース15ml、パウダー・シュガー0.5tsp、クラッシュド・アイス(シェイク)
・「The Bartender's Standard Manual」(フレッド・パウエル著、1979年刊)米
プエルトリコ・ラム1ジガー(約45ml)、キュラソーまたはトリプルセック2分の1ジガー、ライム・ジュース2分の1ジガー、ファラナム・シロップ0.5tsp、クラッシュド・アイス(ビルド)
・「The Book of Cocktails」(ジェニー・リッジウェル著、1986年刊)英
ライト・ラム60ml、ジャマイカ・ラム30ml、オレンジ・キュラソー15ml、オルジェート・シロップ15ml、レモン(またはライム)・ジュース15ml、クラッシュド・アイス、飾り=生ミント、パイナップル・スライス、マラスキーノ・チェリーなど(ビルド)