4995345 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2019/04/16
XML
【お知らせ】Bar UKマスターは、バー業界向けの雑誌「リカル(LIQUL)」に「カクテル・ヒストリア(Cocktail Historia)」という連載をしています。カクテルに秘められた、あまり知られていない裏話、秘話を紹介するコラムです。出版元(編集部)のご了解を頂きましたので、今後、掲載後に一定期間が経った後、Bar UKのホームページでも紹介させて頂きます(なお、転載にあたっては若干の加筆・修正を加えておりますが、ご了承ください)。

カクテル・ヒストリア第1回】
       著者印税ゼロだった名著

 クラシック・カクテルの歴史について調べ続けて四半世紀以上になる。「カクテルについての連載を」と紙幅を与えられたが、短い連載で書けることは限られる。あれこれ考えた末、まずは、あるバーテンダーのことを取り上げたい。
*           *              *
 1876年8月29日、英国で一人の男児が誕生する。父は仕立て職人、母は織物職人だった。14歳で働き始めた彼は、新大陸への移民ブームに刺激され、1897年、21歳で大西洋を渡った。

 そして、ニューヨークやシカゴの有名ホテルでバーテンダーとして頭角を現したが、そんな彼を見舞った悲劇が禁酒法(1920~33)だった。「米国に居場所はない」と考えた彼は1920年、44歳にして再び英国へ戻り、ロンドンのサヴォイ・ホテルのバーで仕事の場を見つけた。

 彼はその後チーフ・バーテンダーにまで上り詰め、10年後、歴史に残る名著を世に送り出す。『サヴォイ・カクテルブック(The Savoy Cocktail Book)』。彼の名はハリー・クラドック(Harry Craddock)。本は、現在でも世界中の数多くのバーテンダーの間で、「バーテンダーのバイブル」と称され、ロングセラーを続けているが、彼が本の印税を一切受け取らなかったことは、ほとんど知られていない。

 サヴォイ・ホテルを63歳で退職後、クラドックはさらに2つのホテルでバーを立ち上げ、チーフ・バーテンダーとして80歳近くまで現役を貫いた。1963年、87歳で死去。その訃報は新聞でも報じられた。だが、それから半世紀余。クラドックはサヴォイのHPでも歴代チーフバーテンダーの一人として名をとどめる程度で、その埋葬場所も不明だった。

 しかし2013年、驚くべきニュースが届けられた。カクテル史の研究者・歴史家らの尽力によって「クラドックの墓が確認された」のだ。そして、サヴォイ・ホテルの関係者らが墓前に集まり、「没後50年記念の集い」を開催した。ホワイトレディなど数々のカクテルを考案したクラドック。その彼のカクテル文化への貢献が、ようやく公式に認められた瞬間でもあった。

 技巧を凝らした派手なカクテルが日々誕生している現代。しかしクラドックのような先人の努力と貢献、言い換えれば「過去の積み重ね」があって、今のカクテル文化の繁栄がある。私たちバー業界に生きる人間は、そのことを常に忘れずいたいと思う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021/06/11 12:29:00 PM
コメント(0) | コメントを書く


PR

Profile

うらんかんろ

うらんかんろ

Comments

汪(ワン)@ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

Free Space

▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。

▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

神戸の残り香 [ 成田一徹 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2021/5/29時点)


▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。

▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。

Archives

Freepage List

Favorite Blog

「続・まぐろのたた… はなだんなさん

LADY BIRD の こんな… Lady Birdさん
きのこ徒然日誌  … aracashiさん
きんちゃんの部屋へ… きんちゃん1690さん
猫じゃらしの猫まんま 武則天さん
久里風のホームページ 久里風さん
閑話休題 ~今日を… 汪(ワン)さん
BARで描く絵日記 パブデ・ピカソさん
ブログ版 南堀江法… やまうち27さん
イタリアワインと音… yoda3さん

© Rakuten Group, Inc.