個人的に、ずっと待ち望んでいた嬉しいお知らせですが、日本のバー業界にとっても、素晴らしい出版だと信じます。
1924年、日本で初めて出版された実用的カクテルブック「コクテール」(前田米吉著)が、豪英共同プロジェクトとして、9月に英語版で復刻出版されることになりました。「コクテール」には298種類のカクテルが体系的に紹介され、レシピは「***2分の1、***3分の1」と分数表示するなど実用に徹したものになっており、当時、街場で年々増え始めたバーで仕事をする人間ににとっては、貴重な参考書になったに違いありません。
不思議なことに、本書の6年後に出版される歴史的名著「サヴォイ・カクテルブック」(The Savoy Cocktail Book、1930年刊)上で、欧米で初めて活字になったカクテルがいち早く、約30種類も登場しているのです。なかには、「サヴォイ…」の著者ハリー・クラドック(Harry Craddock)のオリジナルと思われるカクテルも含まれています。これは大きな謎で「サヴォイ…」が世に出る6年も前に、遠い東洋の日本で、前田氏がどのようにしてレシピを知り得たのか、非常に興味がそそられます。
長年、この前田氏の「コクテール」の研究に取り組んできた私は、僭越ながら、今回の出版プロジェクトに協力するとともに、英語版の序文を書かせて頂きました。そして、何よりも嬉しいことに、この英語版には日本の国会図書館が所蔵する原著のオリジナル版がカップリングされるのです!
今回の英語版復刻計画は、世界的に著名な酒類のライター&研究者でもあるAnistatia Millerさんがディレクターを務める出版社、Mixellany社が引き受けてくださり、欧州、米国、アジアなど主要地域で販売されますが、このプロジェクトの実務リーダーであるBrendan GreyさんのいるオーストラリアではMixellany社が販売流通ルートを持たないため、同国内ではクラウドファンディング(CF)で予約販売されます。
CF(Kickstarter)のページには、Brendan Greyさんがスピーチする動画がアップされていて、有難いことに(今回の出版での)私の関わりについても少し触れてくれています。英語が分からない方も、ぜひ少しだけでもご覧頂ければ幸いです。
個人的には、一日も早く本を手にしたいと願っています!皆さんも、ぜひ応援を宜しくお願い致します!(なお、先ほど米国Amazonのサイトを見たら、すでに予約販売が始まっていました。1冊約11ドル+送料です)。
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Last updated
2022/08/18 12:57:24 PM
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うらんかんろ
大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。
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