激しくも美しいパラリンピックの競技はつづいている。日本選手も大活躍で、これまでに獲得したメダル数は10。そして大勢の入賞者がでている。そのなかで、昨日おこなわれた競泳男子100m平泳ぎ(知的障害SB14)クラスで、田中康大選手が1分06秒69の世界記録を出して金メダルを獲った。すばらし、すばらしい。田中選手、おめでとうございます。
ところで、なでしこの宮間あや選手が、全米の賞賛をあびている。NBC NEWS com.のwebサイトPHOTO BLOGが4点の写真を掲載し、いわく、"
A momennt of true sportsmanship, as Japan consoles a defeated France (真のスポーツマンシップの瞬間、日本が敗者フランス選手をなぐさめる)”
ナタリア・ジメンズ記者は、「ゲーム終了後に相手チームのところに慰めに行く選手をめったに見ることはない。たいていは友好的に握手をしたり背中をたたくのがせいぜいだ」と書いている。
2枚の写真は、宮間選手が負けた選手をやさしく慰め、あまつさえ自分もピッチに座り込んで相手の気持ちを受け止めようとし、フランス選手も宮間のやさしさを受け入れているようだ。
「宮間あやとカミーユ・アビリーとの間にどんな言葉がかわされたか、私たちは知るすべもないが、彼女たちのボディーランゲージがすべてを物語っている。宮間が取り乱したアビリーをなぐさめようと時間をとり、ついにアビリーが宮間のやさしいジェスチャーを受け入れたらしいことは明確だ」と。
この写真がツイッターで大反響を呼び、なでしこ達は心のそこから滲み出た行為で、日本の株をおおいにあげてくれた。
【関連情報】
FiFAWomen:Aya Miyam
Photo by fifawomen
TWitter Trackback for Aya Miyama
msn産経ニュース;平松庚三
「これが日本の文化だ」全米が絶賛した、なでしこの写真
最期の産経ニュースの記事は、タイトルにいかにも産経らしい我田引水的なニュアンスも感じられるが、大筋はNBC記事の紹介である。
と、なでしこ達のように相手を思いやることで・・・その真に美しい行為で・・・ほかには何も示威行動をおこさなくとも国際的な賛辞を得る。
一方、東京都知事は相変わらず下品でヤクザな言葉を発している。その言葉はもはや政治的というより、たんなる無礼者である。
尖閣諸島問題で日中関係はここにきてまたギクシャクしている。そのアキレス腱のようなタチバに東京都知事はいるようだが、9月5日の新聞報道によると石原慎太郎氏は中国のことを「シナ」と呼称している(朝日新聞4版)。
「シナ」とは「支那」と書いていた、太平洋戦時中に日本が中国を軽蔑的に言ったことで、「那(その辺)」の「支(はじっこ、本筋でない)」という意味である。少なくとも、当時の日本人は意識の底にそのような意味を抱いていた。
こう言うと、いやそうではない、明代の漢民族による著作を自ら「支那撰述」と書いているので、蔑称ではないという反論があろう。しかし「支(中国語でzhi)」は、日本と中国では意味が異なる場合がある。中国語で「支;zhi」は「ささえる」のほかに「支配する」とか、日本語には全然無い「燭光」という意味がある。明代(1368-1644)の漢民族が「支那」と自称したのは、蒙古族の元を倒して建国し、「那」の「支(支配)」がはじまったことを考えなければならないだろう。
いや、そんな遙か昔、明代の書物を引き合いに出しての解釈は、せずともよい。1948年をもって国際的に「中華人民共和国」として認知されている国を、「シナ」などと呼ぶバカがどこにいる。国際的な政治の場で、あるいは政治問題に関する発言において我が日本国を、「ジャップ」と言われて黙っていはしないだろう。
石原慎太郎氏は、文筆家として「支那」という言葉についてよくよく承知しているであろう。つまり、今、この人が中国を「シナ」と言い、新聞に引用されたのは、このヤクザな無礼を確信犯としてやっているのだ。かつて石原氏はアジアの諸国を、「第三国」と言った。この言葉も、アジア諸国に対する蔑称だ。弟の裕次郎氏の若い頃の映画作品でしばしば発せられた言葉である。「第三国」あるいは「三国人」・・・。
そうした他者を侮蔑するような言葉をちょいちょいと差し挟む発言を、マスコミが問題視して書き立て、騒ぎ立てれば、こっちのものだとでも思っているのか。この人の言動を見ていると、マスコミの寵児であれば何をやっても許される、・・・許されそうになくなると記者会見で記者を恫喝すれば一件落着、とでも思っているかのように私には映る。
石原慎太郎氏には宮間あや選手やなでしこジャパンのみなさんの爪の垢でも呑んでもらったほうがよさそうだ。都知事として「功」の部分が、だいなしにならないように。