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2009.08.05
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北海道を舞台にしたハードボイルドと来れば東直己だ。東直己の「探偵・畝原シリーズ」の新作を読んだ。

○ストーリー
畝原は飲んだ帰りのタクシーから,おびえて逃げる幼女の姿を見る。急いで戻ったものの既に少女の姿は無く,あきらめて眠った畝原が翌日起きて知ったのは,彼女が暴行され殺害されていた,ということだった。自分の判断が遅れたために幼い娘が死んでしまった,という罪の意識に駆られ,畝原は事件の調査を始める。だが徐々に明らかになったのは・・・?

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本格ミステリーが立派に復権したのとは対照的に,ハードボイルドはいつまでもパッとしない。世相はは暗くなっており,ハードボイルドが人気を博するに適した状態だと思うが,もうひとつうまく時代に合った作品が無いような気がする。

そんな中,札幌ローカルを舞台にして現代に合うハードボイルドを目指していくつも作品を発表しているのが東直己だ。最初は「ハードボイルドのパロディ」風に始まった東直己印の作品だが,人気が出てシリーズ化され,さらに別のシリーズも発表され,いつしか東直己が札幌の,そして日本の現代ハードボイルドを体現するようになっている。

この「眩暈」は,東直己の3つのシリーズの中で,最もリアルとされている「探偵・畝原シリーズ」に属する。だからこそ,この作品には現代日本のハードボイルド作品のど真ん中と言える。

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この作品だけを読むと,主人公の畝原は,多少苦労をしているようだが基本的に友人と家族に恵まれた人物のように思える。だがこのシリーズは,一時期ひりひりしていて,畝原の危うさにハラハラするような展開だった。

それを思えばはるかに安定を見せている「畝原シリーズ」だが,作者の東直己は畝原が対峙すべき新たなる闇に注目しているように思える。それはネットの掲示板などを足掛かりにした”罪悪感の希薄な犯罪”などなのだと思う。

だが東直己が持っている3つのメインのシリーズのうちで,そうした新しい犯罪とうまくストーリーが噛み合うのは,この「畝原シリーズ」だけだ。これがうまく21世紀のハードボイルドのスタンダードになることを願う。

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「畝原シリーズ」の前作「挑発者」に対しては,個人的には厳しい評価をしている。「眩暈」も,全体的には「挑発者」と同じ時代,同じ状況を背景にしており,それなのに出来上がりの明確な差があるので,それがどこにあるのかを確認したくなる。

まず,この作品には主人公が現場に戻ることが遅れたために殺されてしまった幼女,という存在が中心にある。感情移入せざるを得ない,というある意味アンフェアな状況を最初に作り上げており,物語をスムーズに進めるにはこうした吸引力が必要なのが良く分かる。

これまでなんども危機に陥ってきた畝原の家族だが,この作品では畝原の事前のケアもあり,安泰だ。ただ被害者の不幸と,畝原の家族の幸福が対比になっていて,なぜ畝原がこうまでも必死に事件解決にチカラを注ぐのか,というポイントの説明になっている。

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年令相応に成長し,また衰えていく畝原は,間違いなく現代のハードボイルドの主人公だ。










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Last updated  2009.08.08 19:09:58
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