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2016.08.22
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湊かなえの連作短編集を読んだ。

○ストーリー
行方不明になった父の情報を求めて,母と〈僕〉は白綱島のいろいろな場所に行く。生活が苦しく,食材にも困っているため,〈僕〉は釣りを始めるが,港で中年男性に出会い,釣りの手ほどきを受ける。その男性は〈僕〉の家にも出入りするようになり,食材を持ってきてくれるようになるが?

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全ての短編が白綱島という瀬戸内海の島を舞台にしている。造船業で栄え,〈瀬戸内海のシチリア〉とまで言われていた白綱島も,造船業の撤退と共に衰退し,人口は流出し,本土のO市(尾道市?)に吸収合併される。

バスを利用すればO市に出ることも可能で,決して時代に取り残されている土地ではないのだが,地方ゆえの濃厚な人付き合いがあり,噂話や陰口が多い。そうした日本のどこにもありそうな地方を舞台にした連作短編集だ。

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湊かなえと言えば,〈イヤミスの女王〉で女性心理の怖さを書かせたら抜群の作家だ。だがこの作品は少し趣きが異なる。

連作短編の共通点は,舞台が瀬戸内海の島・白綱島であること,主人公がつらかった幼少あるいは学生時代を思い出すこと,そしてなぜか全員父親を亡くしていることだ。

これを書くと,どの短編も似ているように思えるが,そこは人気作家,どれも印象深くバラエティーに富んだものに仕上げている。

残念ながら,6つの短編はどんどんミステリー要素は薄くなり,軽い謎がある,程度になって行く。むしろブンガクとしてのテイストが強い。

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各編について簡単に感想を述べる。

「みかんの花」:高校卒業を目前にして男と駆け落ちをして白綱島から消えた姉は,やがて東京で人気作家となっていた。だが白綱島が本土の市に合併される際に,25年ぶりに島に帰ってくることになった。どうして姉はこの時に帰って来たのか?そして姉の駆け落ちの真相とは?・・・吸収合併により市から町へと白綱島が変わる日を舞台にすることで,島の状況がよく分かる。さらにこの日を選んで姉が帰郷した理由が最後に明らかになる。見事な短編だ。

「海の星」:東京に住む浜崎は,故郷からの葉書をきっかけに,白綱島で暮らしていた頃を思い出す。父親が失踪したため,生活に苦労していた浜崎に,釣りを教えてくれた中年男性がいた。その男は,母子家庭である浜崎家に定期的に顔を出し,いろいろな食材を持ってきてくれるようになるのだが,ある日,正装して現れた。浜崎は,彼が母に告白したのだと思ったが,それから25年後に真相を知る。・・・25年かけてある事件の真相が明らかになる。謎解きは一気に来るのではなく,20年前に一部は明かされているのだが,それは余計に混乱を生み,という仕掛けが見事。〈海の星〉については,どういう現象なのか明かされないので気になる。

「夢の国」:〈東京ドリームランド〉が開設された年に生まれた〈私〉は,家を支配していた祖母に夢都子と名付けられた。だがその祖母の束縛が理由で,〈私〉は大人になるまで〈ドリームランド〉に行くことが叶わなかった。〈私〉はこの家から逃げたいばかりに・・・祖母が母を束縛し,母が〈私〉を束縛する,という連鎖が怖い。ミステリー要素はやや希薄だ。

「雲の糸」:路上ライブからメジャー歌手となった〈僕〉は,7年ぶりに故郷・白綱島に帰る。ここでは〈僕〉の家族はある理由で迫害を受け続けたのだ。それが有名人になった途端に,故郷の誇りとして知人たちが連絡を取るようになる。そして地元で働いている家族のことを思い,〈僕〉は嫌々ながらイベントに参加することになったのだ。だが,そこには図々しく無神経な人ばかりいて,〈僕〉は精神的に参ってしまう。そして・・・この短編読むと,白綱島のことを嫌いになってしまう。姉は立派な人だなあ。ミステリー要素は薄い。

「石の十字架」:都会暮らしからある事情で母の故郷・白綱島で祖母と二人暮らしをすることになった幼いころの〈わたし〉は転校先で仲間外れとなっていた。〈わたし〉は同じような境遇のめぐみと仲良くなり,2人で遊ぶようになる。2人は山の中の観音像に掘られた秘密の十字架に願掛けをする。〈わたし〉はめぐみとの友情を願ったが,めぐみが願ったこととは?・・・構成が複雑で気を付けていないと,物語の流れに置いて行かれる。印象的な場面はいくつかあるが,いろいろはっきりしないまま終わってしまい,拍子抜けした。ミステリー要素はたぶん無い。

「光の航路」:中学校の教師だった父と同じように,〈私〉も小学校の教師となった。父はまだ〈私〉が小学生のころ死んだ。〈私〉が一緒に行きたがっていた進水式に,父は教え子と行くことを選んだため,〈私〉は父と距離を取ってしまい,そのまま永遠の別れとなってしまった。いじめ問題で悩む〈私〉のもとに,父の教え子だったという人物が現れる。・・・湊かなえとしては珍しくヘビーな問題を扱っていてる。学校のいじめについて,教師,被害者の立場から物語が語られるし,現場教師の限界についてもリアルに考察してある。重いけれども希望があるという短編で終わった。










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Last updated  2016.08.26 18:09:21
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