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知的漫遊紀行

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Ryu-chan6708

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2006.08.17
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カテゴリ:社会問題
A氏パロマ事故についての日記で、ISO(アイ・エス・オー)9001についてふれていたけれど、その弊害はどこにあるのだろう?
 流れるプールの管理会社もISO9001をとっていたとの話だが。

:一般的に言われるのは、ムダな書類、ウソの記録の増加とそれによる社員のモラル低下だね。
 それが、本当の品質を見失わせることになる。

A氏:なんで、そんなものをムリにわざわざ、取得するの?

:長い話になるので、簡単に言うね。
 最初、EU(ヨーロッパ連合)で始まった。
 EU国間の商取引で、ISO9001を取得して、かつ、製品がEUの製品規格にあったものにCEマークをつけることになった。
 このマークないとEU市場で売れない
 だから、日本企業ではヨーロッパに輸出するときは、製品の品質だけでなくISO9001をとっていないと輸出できなくなった。
 市場からの強制だ。
 トヨタ生産方式のような世界的に実績が出てからのルールの強制ではないね。
 そのうちに、日本国内の取引などに使われだした。

A氏:日本のJISマークと似ているねが、製品の審査はないから、管理のやり方だけのお墨付きだね。

:問題は、このISO9001の規格の基本発想だ。
 文書主義といって、まず、マニュアルがあって、次にそのマニュアル通りの行動がある。その文書統制で品質が保証される。
 極端な場合、審査員が「朝礼をやっていますね。では、そのやり方の文書を見せてください。」となる。
 さらに「その通り、やったという証拠の記録を見せてください。」となる。
 こんなことは真面目にできないから、コスト増になるし、ウソの記録の温床となるので、大分、改善はされてきているがね。
 その底に流れる、書類が品質を保証するという考えはなかなかしつこいね。

A氏:死んだ書類の山となるね。
 品質で世界を制覇しだした日本に対抗するヨーロッパの陰謀ではないの?

:日本に対抗する意図は、多少はあったが、ご本家のヨーロッパでも書類増加に悩んで いたんだ。
 イギリスでは、むしろ、競争力は低下するというマイナスの現象すら出た。
 これは、翻訳書「こんなISO9000はいらない」(近代文芸社発売)(http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4823106601.htm)にイギリスの実状が示されているよ。 
 むしろ、ISO9000に代わるものとして、世界的に実証されたトヨタ生産方式を推奨しているね。

 ところで、審査は、年1、2回、永久にある
 審査の日が近づくと、品質の関係者がウソの記録を作るために多忙になる。
 年中行事になる。
 そのコストや意味のないことを嫌々やるためのモラル低下は、真の品質を見失う怖い結果となる。

A氏:三菱ふそうやパロマ現象だね。
 ISO9001は品質関係だが、環境のISOであるISO14001をとっている大企業が、環境の法令を守らないで、偽記録をとっていた例が時々新聞に出るね。

:もう一つのISO9001問題の大きな原因は、審査員の質の問題だ。
 企業は審査員の指摘を神の声のように従う癖が抜けない。
 その審査員の指摘が適切でないどころか、ムダな書類の増加を促進させる。
 審査員は、アルバイトでコンサルティングもやる。

A氏:審査員は資格があるのではないの?

:資格制度はあるが、比較的簡単に取得できる。
 その資格と審査の高いレベルがバランスしていないね。
 本来、公認会計士よりむずかいし仕事だよ。
 そして、これらの審査員やコンサルタントは、大手企業のモデルで育ったか、それしか知らなかったので、中堅、中小企業のISO9001で大きな問題を起こしてきた

A氏:何故?

:大手企業はムダな書類でも吸収できる人や金はなんとかできるが、中堅、中小企業はそんな余裕はない。
 ISO9001の序文には、企業の業種、規模などによってシステムが異なると書いてあるのに、審査員やコンサルタントは、企業の個性にあったシステムを開発できない。
 大手型を押し付ける。

A氏:そういうコンサルタントは、診察無しで処方する医者と同じだね
 処方が決まっていて、企業の体質をそれにあわせるという奇妙なことになるね
 ところで、これらの問題と日本版SOX法とはどういう関係にあるの?

:SOX法の中心となる考えは、膨大な業務の手順を書類にすることだ。
 これで業務がオープンになって内部統制の証拠になり、粉飾決算はしないであろうという考えだ。
 株式市場で株主も安心するという発想だ。
 ISO9001の考えと似ているね。
 ISO9001の最初の考えも仕事の手順を文書化し、その通りに実行すれば、品質は保証されるという発想だった。
しかし、事実はそうでなかった。
 SOX法が同じ轍を踏まないことを望みたいね

A氏:アメリカのSOX法に対応したリコーの例では書類つくりは業務の帳票の流れを書いたフローチャート作成が中心で、大きなフローチャートが約7千枚、費用は8億円かかったということが、この日記にあったね。

私:それで、本当に膨大な書類で粉飾決算が防止できるのかね。
 その考えに疑問を持つのでなく、ムダな文書を効率よく電子化しようとして、今、IT業界がこの市場開拓に乗り出しているね。
 マニュアル主義、書類主義はますますIT化とともに進み、新しい社会問題が生まれつつあるね。

A氏:ムダなものはなくすることが最上の方法だが、ムダをそのままにして、それをIT化するという考えは、経営戦略的に見たらムダ保存の先延ばしに過ぎないように思うね。
 それよりも社員のモラル向上のほうが重要に思えるがね。





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Last updated  2006.10.05 08:49:03
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