タクシー王子、東京を往く。
A氏:君のブログでは、タクシー知的街道があるね。
タクシーの値上げ、タクシー参入一部制限、大阪のタクシー、タクシー運転手との車内での会話・その5、タクシーの運転手との会話・大阪府のビッグプロジェクト、大阪のタクシー、家紋とタクシー、ゲリラ豪雨再会とクーラー病、ガソリン代とゲリラ豪雨と続いたね。
それとタクシーの運転手は景気の変化をいち早く感じる職業だね。
私:俺がタクシーに興味があったのは、規制緩和に関係しているからだ。
規制緩和すると競争で経済効率が上がるといったが、結果は、料金が値上げとなり、運転手が貧困化した。
規制緩和の典型的な失敗例だね。
俺は、ムダをなくす規制緩和撤廃は必要だが、一方的な「市場原理主義」による「規制緩和至上主義」は危険だと思っているね。
なんでも、1つの主義を徹底するのは危険だね。
現実は多様だからだ。
養老孟司氏、同様、「教科書に墨を塗った世代」の身についた感覚だね。
田母神前幕僚長の発言のように、単細胞的な発想と違うね。
「相対的思考」でもあるね。
A氏:この本の著者は、タクシー業界の大手日本交通の3代目社長だと言うことだね。
テレビに出たこともあるね。
私:3年前に34歳で業界最年少の社長となるが、先代のバブルの負債の返済で、苦労するね。
しかし、この本は、そういう話が中心でなく、約1ヶ月間、社長業務を放り出し、実際に一人のタクシードライバーとして活躍した日記風の話だね。
文章が軽やかで、読みやすく、ドライバーの運転心理や、乗せた客の描写など、内容的にもあきさせないね。
休みがあるから、1ヶ月で13回の乗務。
やらせはなく、すべて普通の運転手と同様に、終業後の洗車までやる。
A氏:一時問題になったタクシー運転手の貧困化問題は出てこないの?
私:その話は出てこないね。
この本によると、日本交通のタクシー運転手の平均年収は521万円、東京のタクシー運転手の平均は448万円だという。
A氏:結構、稼いでいるね。
もっとも、最近の突然の不況で先は分からないがね。
私:俺はタクシー業というのは、規制緩和して競争しても、画期的な技術革新やビジネスモデルが出る業種でないので、あまり意味がないと思っていたが、結構、改善はしているんだね。
日本交通は、タクシーをハイヤーレベルに黒塗りにしたり、専用プール場所を作ったりしているね。
そして、無線通信、GPSなどのIT化をしているね。
A氏:IT化になると施設費用、ソフト費用などでやはり日本交通のような大手が有利だろうね。
私:そうだね。
それにこの本を読むと東京の客はカネがある感じだね。
大阪と違う感じだね。
背景には、東京と大阪の経済力の違いを感ずるね。
やはり、東京のほうが、金持ちが多いという感じだね。
13乗務で、客を乗せた回数が427回、売上約83万円だから、1回平均約2千円かね。
そして、ときどき、万円単位の長距離客が乗ることが結構あり、これが売上増に貢献していることが分かる。
A氏:それが、大阪では5000円以上は半額だから、痛いね。
私:大阪のタクシー運転手がそう言っていたね。
この本を読むと、タクシー運転手も結構、頭を使うし、ノウハウがあるから、適任者とそうでない人は分かれるようだね。
A氏:収入格差かね。
私:なんでも格差はあるよ。
問題は、それによる貧困だね。
格差によって市民として正常な生活ができない貧困化だね。
そしてそれが子どもの教育につながって、階級のように固定化することだね。
格差問題にはその混同と誤解があるようだね。
とにかく、面白い本だった。
中身はあまりないがね。