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カテゴリ:読書感想
私:「コンビニ人間」は第155回芥川賞受賞作。 一昨日、近くのコンビニまで行って買ってきた。
A氏:小説「コンビニ人間」をコンビニで買うとは、寒い洒落だね。
私:昼頃、購入し、午後から、夜までかけて、40ページほどの作品を一挙に読了したね。 コンビニという日常、われわれが知っている職場を中心に描き、仕事や店員の人間描写が面白く、途中で投げ出すことがなかったね。
A氏:このブログの「8月8日朝日新聞日曜書評より」でふれていて、ここでは、文芸評論家の斎藤美奈子氏が新種のプロレタリア文学で、主人公が暮らすのは労働疎外の先にある世界であり、読者はときに哄笑し、ときに冷や汗をかきながら、景色が反転する感覚を味わうだろうと評していたね。
私:文藝春秋では、作品の掲載頁の前頁に「芥川賞選評」を掲載しているね。 各選考委員が短いコメントを載せている。 以前、石原慎太郎が選考委員のとき、彼の選評は独特なのでよく読んだね。 彼が推奨した作品はあまりなかったように思う。 同様に、村上龍の選評もよく読んだね。 二人の選評が似ているのは、あまり熱心に推薦しているものがなかったことだね。 石原慎太郎が選考委員をやめたので、特に選評を読むのは村上龍だけになってしまったね。
A氏:しかし、その村上龍氏の今回の「コンビニ人間」の選評は珍しく、べた褒めではないのかね。
私:村上氏は、選評で「現実を描き出す」というのは、小説が持つ特質であり、力だという。 そして、「コンビニ人間」の作者は「コンビニ」という、どこにでも存在して、誰もが知っている場所で生きる人々を厳密に描写することに挑戦し、勝利したと高く評価している。 そして最後に「この作品には上質のユーモアがあり、作者に客観性が備わっていることを示す。このような作品が誕生し、受賞したことを素直に喜びたい」と村上龍氏は選評文を終わっている。
A氏:コンビニには俺達が見ている活動以外に、裏の活動があるんだね。 新人は店長やベテランから訓練を受ける。 マニュアルがある。 交代の始まりに朝礼や夕礼があり、各自の分担や特売の準備などの指示がある。
私:俺はこの「コンビニ人間」の作品を読んでから、コンビニ行ったら、何故か、店員一人一人の動きが気になってきたね。 若い学生アルバイトらしい男子の店員が、サンドイッチの棚の商品を並べ替えしていた。 賞味期限の近いものを前に並べ替えをしているのだろうか。 コンビニの世界が、そのまま世の中の縮図のように感じたね。
今、マスコミはオリンピックだらけだが、それでもコンビニはいつもと変わらず、24時間、営業をしているわけだ。 日本の多くの企業がそうであるようにーーー。 そう感じたね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.08.12 20:51:36
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