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私:昨年11月、全米で地方選挙があった日、バージニア州議会下院選で、民主党のカーター氏ら米最大の社会主義団体「米民主社会主義者(DSA)」のメンバーが、市議などの公職に15人も当選。
大手メディアなどが想定していない事態だった。
選挙中は、共和党候補からは、レーニンやスターリン、毛沢東のイラストとカーター氏の顔写真を並べて「社会主義」と大書したビラが配られるという攻撃を受けた。
だが、得票率にして9ポイント差で、予想外の勝利を決め、「反トランプ政権」の空気が追い風となり、若年層の投票率が上がったことが勝因とみられている。
A氏:カーター氏は「僕の世代にとって社会主義は、労働者が経済の主導権を取り戻すための現実的な選択肢になった」と言う。
米国では1950年代にマッカーシズム(赤狩り)の嵐が吹き荒れて以降、「敵国」の思想である社会主義は米国でタブー視されてきたが、1980年以降に生まれたミレニアル世代の意識は、もはや違う。
昨秋のネット上の調査では、ミレニアル世代の53%が「米経済は自分に不利に動いている」と答え、「社会主義国に住みたい」が「資本主義国に住みたい」を上回った。
米国では、「赤狩り」今は昔「現実的な選択肢に」移っている。
私:今年11月の中間選挙に向け、DSAや、ほかの左派系政治団体が若者からの支持を伸ばしていて、16年の大統領選以降、「中道」路線と「左派」の綱引きが続く民主党の戦略に大きく影響しそう。
10年の中間選挙で、当時のオバマ政権に対抗する保守派の茶会運動(ティーパーティー)が勢いづき、共和党を右傾化させた時とは正反対の動きが進んでいる。
A氏:イギリスでは最大野党・労働党党首・ジェレミー・コービン氏が、反緊縮財政・反戦が信条。
コービン氏は、90年代に労働党を躍進に導いたブレア氏の中道路線「ニューレイバー(新しい労働党)」にことごとく反対し、マルクス主義者と揶揄され、党内主流派からは嘲笑されてきた。
私:それが、15年の党首選で圧勝。
支えたのは若者を中心とした一般党員で、それから2年半たっても、熱狂は冷めるどころか強まる一方。
昨年6月の総選挙では、労働党が終盤に脅威の伸びを見せ、与党・保守党を過半数割れに追い込んだ。
40代以下の全世代で労働党の得票が保守党を上回り、特に18、19歳では労働党への投票が66%で、保守党の19%を大きく引き離した。
オックスフォード辞典は、若者が政治的、社会的に大きな変化を起こしたとして「ユースクエイク」(若者の反乱)を昨年の「今年の言葉」に選んだ。
A氏;英国の大学はほぼ全校が国立で、ブレア政権下の98年に授業料を払う仕組みになり、保守党政権でも上限額の引き上げが続いた。
このため、学生は、生活費なども含め卒業時には5万ポンド(約770万円)の借金を抱えるのが普通。
将来に対する不安や怒りは、緊縮財政で弱者に我慢を強いる政治に向かい、昨年の総選挙では英南東部カンタベリー選挙区にその地殻変動が端的に現れ、労働党のシングルマザー候補が在職30年の保守党ベテラン男性議員を破り、保守党は99年間守ってきた議席を失った。
コービン氏の公約は、新自由主義にくたびれた人たちが待ち望んでいたものだという。
私:コービン氏は昨年9月の労働党大会で、第2次大戦直後に手厚い社会保障政策を実施したアトリー政権の「ゆりかごから墓場まで」に言及し、喝采を浴びた。
コービン氏はポピュリストではなく、40年間同じことを言い続け、彼を必要とする時代が来たのだという。
グローバル資本主義の中心地・米英では、若者がきちんと学び、定職に就き、まともな家に住みたいという当たり前の希望がかなわない「格差の拡大」が背景にあり、彼らは「格差是正」を訴える老政治家にこぞって共鳴し、国政を動かそうとしているようだ。
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Last updated
2018.03.07 09:24:33
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