|
カテゴリ:カテゴリ未分類
私:ここでは、リーマン危機から10年たったが、今も国民生活に痛みを強いている英国、アイルランド、イタリアの例をあげている。 A氏:「英国」では、2008年2月に中堅銀行「ノーザン・ロック」が国有化され、他行も経営悪化で貸し出しを絞った。
住宅価格の下落などで景気は悪化した。
政府の税収は大幅に減り、財政赤字幅は急拡大し、10年発足のキャメロン連立政権は財政再建を優先政策の一つに掲げて緊縮策を始めた。
最もカットされた予算の一つが地方自治体向けの支出で、17~18年度予算の政府から地方向けの支出は、10~11年度予算と比べて半減。
ロンドンでは緊縮策を批判するデモが今も相次ぎ、今年5月には公務員らが1万人規模でデモを繰り広げた。
財政カットで地方は疲弊し、EU加盟国からの移民への予算支出への不満もたまり、EU離脱が支持されたとの見方は根強く、離脱が支持された地域には政府補助に頼ってきた都市も多く、公的雇用が減り、それに代わる安定した仕事をつくるのも難しく、緊縮策への不満が離脱の一因になったのではないかという。
この英国の緊縮財政の国民生活への具体的な影響例は、すでに、保育士・ライターで、96年から英国在住のブレイディみかこ氏の「欧州季評」で、3月は、「緊縮病『失われた10年』 待ちわびる、冬の終焉」で英国の緊縮財政をホームレス増加問題を通じて現場の姿を報じ、6月には、「治安悪化するロンドン 若者への投資、削減の末」として、ロンドンで2月と3月に起きた殺人件数が、現代史上初めてニューヨークを上回ったことが4月に明らかになり、 世界中を驚かせたと報じている。
9月には、「英国の女性参政権100年 緊縮財政が招く権利後退」で、緊縮財政政策のために多くの女性たちが貧困と生活苦に追い込まれ続けていると報じている。
私:次に「アイルランド」だが、アングロ・アイリッシュ銀行は経営危機に陥って放置されていた。
経営危機の原因は不動産バブルの崩壊で、1999年の共通通貨ユーロ誕生後、海外から資金が流入。銀行はその資金を元手に住宅ローンの貸し出し競争に走り、ダブリンの住宅価格は10年で4倍以上に高騰。
しかし、リーマン危機で、国内の住宅価格は半分になり、銀行は巨額の不良債権を抱えた。
政府は、銀行の資本増強のために約630億ユーロ(8・3兆円)の公的資金を注入し、銀行の債務も保証し、国内総生産(GDP)に対する政府債務の割合は07年から10年に4倍近くに高まった。
10年にはEUなどへの金融支援の要請に追い込まれた。
銀行は銀行融資を規制し、住宅を買えない人が賃貸物件に向かい、ダブリンの家賃平均は危機前の07年より2割も高い。
緊縮策で障害者手当なども減ったまま。不動産バブルと緊縮策のつけが今も国民の生活を苦しめている。
A氏:「イタリア」では、2011年に財政不安から国債が売られ、国債を保有する銀行の株価が急落し、景気低迷による不良債権問題も追い打ちをかけた。
イタリアの銀行融資に占める不良債権比率は、15年末の18・1%から、今年6月には12・2%に下落。
改善されたようだが、まだユーロ圏全体の水準の2倍以上。
銀行が融資基準を以前より厳格化したため、今も地元企業はお金を借りるのに困っているところが多いという。
私:6月発足のイタリア新政権は、今月27日発表の来年度予算の基本方針「経済財政文書」に、最低所得保障などの政策を盛り込んだ。
しかし、財政悪化の懸念から、28日の金融市場ではイタリア国債が売られ、国債価格が急落。
国債を多く持つ銀行株も売られ、最大手銀行ウニクレディトの株価が前日終値より一時9・5%も下落。
財政不安が再びイタリア銀行の先行きに暗い影を投げかけている。
各国とも10年前のリーマン危機が原因の財政不安が、国民生活にいまだに悪影響をあたえているね。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.09.30 15:52:41
コメント(0) | コメントを書く |