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私:ブレイディみかこ氏は、保育士・ライターで、96年から英国在住。
英国の現地の生々しい状況を伝えているが、3月は、「緊縮病『失われた10年』 待ちわびる、冬の終焉」で英国の緊縮財政をホームレス増加問題を通じて現場の姿を報じていたね。
6月には、「治安悪化するロンドン 若者への投資、削減の末」として、ロンドンで2月と3月に起きた殺人件数が、現代史上初めてニューヨークを上回ったことが4月に明らかになり、 世界中を驚かせたと報じている。
いずれも、背景に保守党政権の緊縮財政政策があるようだ。
今年は英国で女性に参政権が認められて100周年だというのに、政府が推進している緊縮財政政策のために多くの女性たちが貧困と生活苦に追い込まれ続けていると、ここでも、緊縮財政政策の影響にふれている。
A氏:昨年、英国中部リーズで10歳以上の「貧困層」の少女たちが生理になると学校を休んでいることがメディアで大きく報道されて話題になった。
家庭に生理用品を買う余裕がなく、ソックスにティッシュを詰めたり、新聞紙を重ねたりして生理の時期を過ごしているので、制服が汚れることを恐れて登校できない。
こうした極端な英国内での貧困を調査するため、今年11月には国連特別報告者のフィリップ・アルストン氏が英国入りし、英国内における貧困の深刻化と緊縮財政政策の関係性に特に関心を持っているという。
昨年、野党第1党の労働党は、保守党が政権に返り咲いた2010年から政府が行ってきた政策がさらに男女格差を広げており、緊縮によるしわ寄せの86%が女性に及んでいるとして、税制と支出政策のジェンダー監査を行うように政府に求めた。
この分析は、緊縮による税制改革、福祉制度改革によって受ける損失を男女別に割り出したもので、10年から20年までの財政支出削減による損失の推計は、女性で総額約790億ポンド、男性で約130億ポンドになるという試算を行っていた。
私:緊縮財政政策は貧しい層ほど痛めつけられる政策と言われ、女性の平均所得は男性のそれよりも低く、シングルペアレントも男性より女性のほうが多い。
よって女性は財政支出削減の影響を受けやすく、緊縮による福祉削減の一環として打ち出された、所得補助、求職者手当、雇用・生活補助手当、住宅給付などを一本化する新福祉制度、ユニバーサル・クレジットの導入によって、多くの女性が貧困に陥っている。
臨時雇用やパートの仕事をしているのも女性が多く、女性就労者の42%がパートで働いている(男性は13%)ため、低所得者への補助金削減や、公共セクターの賃金凍結(国民保健サービス、NHSの職員の77%が女性)で最も影響を受けるのは女性。
加えて、緊縮で政府が育児支援、介護などの分野でのサービスを縮小すれば、家庭で女性たちがケアを担うことになり、働けなくなったり、勤務時間を短縮しなければならなくなったり、と所得はさらに減少する。
A氏:女性参政権100周年を祝う方法は、華やかなイベントやマーチに参加するだけではなく、現代ならサフラジェットたちは何をしただろうと考えることだとブレイディみかこ氏は指摘する。
すなわち、彼女たちが闘ったのは、単に男性と同じ参政権が欲しかったわけではなく、参政権を手に入れて、女性の利害を反映した政治を実現させたかったのである。
ブレイディみかこ氏は「フェミニズムは単なるアイデンティティー政治の問題ではなく、経済の問題でもある。男女格差を広げる財政政策はジェンダー平等の理念に逆行する。緊縮はジェンダーの問題なのである」と指摘する。
私:かっては、「ゆりかごから墓場まで」と言われた英国の社会保障制度は、どこに行ったのだろうか。
EUからの離脱(ブレグジット)で、さらに英国経済は悪化するという。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.09.21 15:45:41
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