テーマ:感じたこと(2892)
カテゴリ:社会問題
27日の読売新聞朝刊に、臓器移植の記事が出ている。
脳死移植10年 臓器提供81例のみ(読売新聞) 社説も臓器移植について語っている。 脳死移植10年 もう海外で臓器はもらえない(2月27日付・読売社説) 脳死からの臓器移植が日本で始まってから10年。 この間、脳死からの臓器移植は81例しかない。 臓器を必要とする患者は、海外での移植に希望をつなぐことが多い。 こうした海外渡航は「移植ツーリズム」と呼ばれる。 ところが、2008年5月に出た「イスタンブール宣言」が出た。 イスタンブール宣言(PDF) これにより、外国人への臓器移植は制限された。 「必要な臓器はその国で」というのが基本的な考え方になりつつある。 すでに豪州とイギリスが日本人受け入れを拒否しているという。 日本の臓器提供者は100万人あたり0.8人。 これはスペインの34.3人と比較すればとても低い数字だ。 (2月27日、読売朝刊3面の記事による) 何故こうしたことが起きるのか? それは、日本の臓器移植には厳しい条件があるから。 日本では、臓器移植意思表示カード(またはシール)所有者が8%しかいない。 家族が臓器移植を希望しても、本人の意思がなければかなえられない。 こうした現状を打破すべく、「臓器の移植に関する法律」の改正が求められている。 改正案には、次の3つがある。
また、脳死判定の厳しさも医療現場に負担を強いている。 脳死判定は2回必要とされている。 そのため、担当者が2、3日拘束される。 臓器移植を希望する患者は1万2000人いるという。 今までに81例しか脳死からの臓器移植がないということはすでに書いた。 ということは、臓器移植を待っている間に死亡した患者が多くいる。 この現実を忘れてはならない。 よく、子どもの患者が海外での臓器移植を求めて渡航するのが話題になる。 募金で1億を超える治療費を集めることもある。 その裏で、今日も病気のため死にゆく患者がいる。 日本で臓器移植する技術があるというのに。 臓器提供を希望する人もいるのに。 このことを、どうか忘れないでほしい。 もしその患者が自分の家族だったら。 幼い息子、娘だったら。 そう考えればこの問題は他人事ではない。 臓器移植は「脳死は人の死か?」という問題を抱えている。 だからこそ結論が出にくい。 今日も死にゆく患者がいることを思いつつ、結論を急ぐことが求められる。 今日の読売は、この臓器移植についてかなり紙面を割いている。 1面で「小児脳死移植65%容認」。 そして3面で脳死移植の現状を解説。 上記のように、社説でもこの問題に触れている。 その他にもチベット動乱から50年、裁判員制度での情報公開もある。 「意見を発信する新聞」として読みごたえがある。 私は読売のトップにいる人物が嫌い。 「自民と民主の大連立構想」も賛成できない。 しかし、今日の紙面は力が入っている。 この点は評価に値する。 首都圏は朝から雨が降る天気。 配達する側も大変だっただろう。 今日の読売をぜひ読んでみてほしい。 *********************** 関連記事 渡航移植に出かける日本は移植後進国のままか 子供の臓器移植 バナーにクリック願います。 ***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。 その場合リンクは必要とはしません。 意見があればメッセージでどうぞ。 ただし荒らしと挨拶できない人はお断りです。 今のところメッセージは全て読んでいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.02.27 12:14:56
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