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2010.06.09
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カテゴリ:社会問題
週刊ポストの6月25日号に呉智英氏の文章が出ていた。
差別に関するものだ。興味深かったので今日はこの話を書く。

   オブジェ1

私は週刊誌を読むことが少ない。
読むとしたら電車の網棚にあったものか、図書館で読むだけだ。
この雑誌も買ったわけではない。
友人が持っていたものを借りて読んだ。

「20世紀に世界を支配したイデオロギーを疑え」ということを訴えている。
人権という言葉が人々の思考を停止させる。
呉氏はそう主張している。
そして、差別用語での言葉狩りを問題視している。

彼が差別用語で例にしているのは「屠殺場」という言葉。
「屠殺場」を悪い意味で使うことはいかんという風潮が日本にはある。
確かにそうだ。この点は私も認める。
差別について、私は過去にこんな記事も書いたことがある。

身近にある差別と区別。そして言葉狩り。

差別について

呉氏が言うにはこうした表現を許されている人物が二人いるという。
大江健三郎司馬遼太郎のことだ。
大江は「沖縄ノート」(岩波新書)でこう書いている。

「二十五年ぶりの屠殺場と生き残りの犠牲者との再会」
(太字部分は引用)

司馬は「街道をゆく」(朝日新聞社刊)の11巻で元寇のことをこう書いている。

「浜辺は、たちまちにして元軍による鎌倉武士たちの屠殺場のような惨況を呈した」
(同じく太字部分は引用)

これらの文章はそれぞれ70年と77年に発表されたもの。
呉氏は、なぜこの二人だけがこの表現を使用しても許されるのか。
それに対して疑問を投げかけている。

そうなんだろうか。
呉氏の主張は途中まで正しい。
私も賛同しながらこの文章を読んでいた。

例えば司馬遼太郎。
彼は「竜馬がゆく」の中で「ちょうりんぼう」という言葉を使った。
この件で部落解放同盟から抗議を受けたことがある。
詳しくは以下のページを読んでもらいたい。

ちょうりんぼう事件(Wikipedia)

「言葉のプロ」である司馬遼太郎。
彼でさえ、「ちょうりんぼう」が差別語だと知らなかった。
(その後、問題の部分は司馬が削除を申し出た)
このように、司馬でさえ差別用語を使う「特権」を持ってはいなかった。

大江健三郎についても同じだ。
ノーベル文学賞を受賞した彼でさえ、「神格化」されているとは言えない。
その証拠を今から述べる。

大江は浅沼稲次郎暗殺事件に刺激を受け、「セヴンティーン」を発表。
その後、「政治少年死す」という続編も出した。

事件の犯人である山口二矢がモデルになったこの作品を右翼は批判した。
Wikipediaによると、文藝春秋等に脅迫まで行われたという。
結局、「政治少年死す」は単行本に収められていない。

もし大江が神格化された存在なら、こうしたことは起きていない。
つまり、司馬や大江ほどの人物でさえ、「特権」を持っているとは言えない。
これが私の結論だ。

興味深いことに、沢木耕太郎山口二矢を描いた「テロルの決算」。
この作品については批判、糾弾があったという話は聞かない。
作品は普通に出版されている。
つまり、右翼が問題視したのは描き方ということになる。

「屠殺場」と言えば筑紫哲也のことを思い出す。
筑紫は1989年にテレビ番組でこう言った。

「ニューヨークの街も多分屠殺場だね」
(太字部分、Wikipediaより引用)

これに対し「屠殺場」という言葉の使い方が不適切であったとして翌日に謝罪。
しかし屠場労組や部落解放同盟に批判、糾弾された。

呉氏が言うように、言葉狩りは大きな問題だ。
だが、彼の言うような特権があるとは思えない。

漫画界の巨匠、手塚治虫
彼でさえ、作品で描かれているアフリカの人たちなどが問題となっている。
手塚はすでに亡くなった。
もう作品を書き直すことすら物理的にできない。
そんな状況で「差別だから」という理由から作品が読めないとしたら。
文化的な損失は甚大だ。

※今回の記事には差別表現とされる言葉が含まれている。
私がその言葉を使ったのは、差別を解明するために必要だから。
それ以上を意味はない。
当たり前のことではあるが、ここに書いておく。


追記

楽天ではある種の言葉がNGワードとして使うことができない。
たとえばこんな感じだ。

女性器切除(割礼)と言葉狩り

今回、いくつかの差別用語がNGワードになっていなくてよかった。
批判するためでもNGワードを使えないとしたら。
表現の自由すら失われてしまう。


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最終更新日  2010.06.09 11:46:51
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