全て
| カテゴリ未分類
| クラシック音楽
| 読書日記
| 癌
| 旅
| YOUTUBE
| 映画
| 買い物
| 折々のバカ
| 自叙伝
| 健康
| 音楽のある部屋~三ツ星クラシック
| アジテーション
| 身辺雑記
| 投資関連
| マリア・カラスに恋をして
| 裏札幌案内
カテゴリ:映画
放浪の、というより世を捨てた俳人の話など面白いのだろうかと疑心暗鬼だったが、「日本映画の伝記物として今年一番の成果」という映画館発行のリーフレットの言葉を信じて観てみたら印象に残る映画だった。
井上井月の名前すら知らなかったが、まずこれほどすばらしい俳句をのこした人がいたという発見が収穫。ドキュメンタリーとドラマ仕立ての部分をまぜ合わせたドキュ・ドラマの手法をとったことで、退屈せずに観られる映画になっている。伊那地方の四季を撮した映像も美しく、民俗的な世界を感じさせるドラマの部分との対比もいい。 井上井月は幕末から明治中期にかけて、伊那地方の家々を泊まり歩いては寝食のお礼に俳句をのこしていた俳人。野垂れ死に同然に死んでいったこの俳人の謎の生涯にスポットをあてている。明治維新によって村々が経済的に疲弊し米騒動が起こっていく時代をからめて描いているが、井月のような放浪の俳人そのものの存在を許容しなくなっていった明治という時代を告発しているようにも見え、目を啓かれる思いがした。 句会のシーンなどもあるが、井月の句はその内面的な深さにおいて飛び抜けていることがわかる。松尾芭蕉と並び称されていいだけの俳人ではないかという気がする。井月の句集はまもなく文庫本で出るらしいので、ぜひ読んでみようと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 17, 2012 01:24:24 PM
コメント(0) | コメントを書く
[映画] カテゴリの最新記事
|
|