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カテゴリ:映画
シリーズ第2作のできはあまりよくなかったように記憶している。しかしシリーズ第3作は成功作であり、何度か観る価値のある映画になっている。
成功した理由は二つ。実の親子ではないが家族のように暮らしてきた二家族の二人(淳之介と六子)の同時並行的な自立を描くことで、実の親子関係を超える家族のあり方を提示することに成功している点。このころの日本人にまだあったストレートな純情さや人情もけれんなく描かれている。 もう一つは、父と息子との葛藤というテーマが世代を超えて描かれている点。息子を愛するがゆえに辛くあたる父親が、茶川の父と茶川本人の両方で描かれる。淳之介と六子の自立を横軸とすると、このテーマが縦軸となることで作品に立体感が生まれている。どちらも時代を超えたテーマだが、こうしたエピソードが縦横の軸となることで、昭和30年代ノスタルジーだけが魅力ではない優れた映画になったと思う。 「戦後」が残っていた第一作は東京タワーが建設されていた1958年が舞台だった。あのころ小学生だった一平や淳之介は高校生になっているし、六子は成人している。この3人の、実際の年齢に近い雰囲気とその変化が、まるで親戚の子どもの成長を見ているかのような錯覚をおぼえる。これはシリーズ第一作から見てきた人間だけの特権だが、第1作を作ったときにこの第3作をすでに構想していたのだとすると、監督の先見力には舌を巻いてしまう。 「男は辛いよ」の場合、登場人物はあまり歳をとらないし境遇に変化はない。しかし、この映画では登場人物の実年齢と映画の役柄の実年齢がリンクしているので、親戚の子どもに久しぶりに会ってその成長に驚くような親近感を感じるのである。 この映画は1964年に観る人が何歳だったかで印象が大きく変わると思う。特に東京オリンピックのインパクトは今からは想像できないほど大きかったが、そのインパクトはこの映画ではさほどよく描かれているとは言えない。さらに昭和30年代の暗黒面はまったく描かれないが、それを責めるのは酷というものだろう。 VFX技術によるものだろうが、画面のすみずみにまで気を配り、小物ひとつまで当時のものが再現されているので、この映画は細部をじっくり観たい。わたしのレコーダーはSDカードに記録できるのでもし放送されることがあれば録画しIPADに入れて持ち歩きたいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 17, 2012 12:33:42 PM
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