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カテゴリ:映画
涙が出るほど笑わせてもらった。
ネタバレは厳禁だと思うが、最後、札幌の中島公園で「世界一売れないミュージシャンことKAZUYA」がボートを漕ぎながらぼやく。このボヤキの何ともいえないユーモアはどんなコメディアンにも不可能。正直な人間性の発露をとらえたという点では世界でも唯一無二だ。爆笑につぐ爆笑で呼吸困難になり、カロリーを消費しすぎて低血糖のような症状になったほどだ。 わたしと同じように思った人は多かったらしく、わずか一週間の上映だったのに観た人たちの口コミで問い合わせが殺到、さっそく追加上映が決まったらしい(時期は未定)。 笑い出したい気持ちを抑えてできるだけ冷静になって思うのは、このドキュメンタリーは、北海道人をとらえた最初の映画だということだ。北海道人特有の大らかなマヌケさ、裏表がなくストレートなところ、他人を批判するのも優しさのうちという大陸的なキャラクターがよくとらえられている。 たとえばKAZUYAに収入を質問するシーン。けっこうぶしつけな質問のしかただが、決して怒らない。怒らないが、「その質問は気分が悪くなる」と言う。こういう言い方がいかにも北海道的なのだ。言った人を怒るのではなく、その言葉を発した人とその言葉を切り離して対応する。不愉快な質問をした人を不愉快なヤツと怒るのではなく、ただ機嫌が悪くなる。質問が変わればもう機嫌は直る。あとにひかず、さっぱりしている。KAZUYAは、言ってみれば少年のような個性の持ち主なのだが、この映画に登場する元のバンド仲間や音楽プロデューサーの梶原信幸も、こうしたところは多かれ少なかれ共通している。 この映画を見て、ほんとうに北海道に生まれ育ってよかったと思う。もちろん北海道にも底意地の悪い人間、細かいことに拘泥する神経症患者みたいなヤツはいるが、自分で何かを作り出したり自分で動いて何かをやっている人たちは、みなこうしたキャラクターにおいて共通している。作り笑顔はしないが、ほんとうにおかしいときは腹の底から笑う。無愛想だがほんとうは心があたたかい。 それにしても51歳で、月収は多くても5万円、少ないときは2万円。ライブをやれば赤字で、10年ぶりに作ったCDもとことん売れない。東京に出てメジャーになる気はなかったのかという質問には、面倒くさかったんだよねと言う(笑) 歌や曲は悪くないし、コード進行のセンスはいい。梶原氏によれば「歌詞がダメ」だというが、全体として音楽的に中途半端だと感じる。この映画がブレークのきっかけになる可能性はゼロではないが、たぶんないと思う(笑) しかしこういう人生は悪くない。売れるか売れないかは結果であって、やりたいことをやる人生こそすばらしい。 KAZUYAが遠軽の実家に帰省し老いた両親と話すシーンは出色。特になぜか雄弁にしゃべる母親の飾らない人柄が心に残る。 再上映が決まったら初日に行くつもりだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 14, 2013 10:43:37 PM
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