全て
| カテゴリ未分類
| クラシック音楽
| 読書日記
| 癌
| 旅
| YOUTUBE
| 映画
| 買い物
| 折々のバカ
| 自叙伝
| 健康
| 音楽のある部屋~三ツ星クラシック
| アジテーション
| 身辺雑記
| 投資関連
| マリア・カラスに恋をして
| 裏札幌案内
カテゴリ:映画
ドキュメンタリー映画として見たとき、この作品はおもしろい。福島第一原発事故で居住地域が放射能汚染され、埼玉の廃校になった高校に避難した双葉町民の生活をうつしている。ニュースなどではほんの一瞬しか映像が流れないが、難民となった人々の日常を淡々と記録している。
ドキュメンタリーとしてはおもしろいが、落胆させられるシーンがいくつもある。双葉町に帰せと自民党の議員に請願にいくシーン。これだけひどい被害を受けていながら、まだ事のからくり、責任のありかがわかっていない町民たちには落胆を通り越して呆れてしまう。原発事故を引き起こしたその当事者に「お願い」するとは情けないにもほどがある。 天皇と皇后が避難所を訪問するシーンでは感動して涙を流す避難民がいたりする。かしこまった儀式的な訪問ではなく、さりげない訪問なのには好感がもてるが、これこそ天皇の政治利用にほかならないというのに、ありがたがるのはバカでしかない。 江戸川町長の言葉は心にしみる。世界各地にたくさんいる、住むところを追われた民族。そういう人たちのことがイヤというほどわかるようになったという。しかしその一方、原発を誘致し、それで潤ってきたことへの根本的反省はない。この町長の誠実さや善良さは疑うべくもない。しかし、その無思想、自分たちの生活さえよくなればいいというエゴが原発による町おこしを選択したことへの「総括」がない、というよりは「総括という発想」がない。誠実で善良であることは何のアドバンテージでもない、ということがこの町長を見ているとわかる。 100万年、いや億年という単位で核のゴミを生み出す原発の犯罪性は50年前からはっきりしていた。被害者かもしれないが、国や電力会社の言うことを信じた方が悪いのだ。成田空港は47年かかってまだ半分しかできていない。三里塚農民のように反対し実力で闘っていれば、全部はムリでも原発の数は半分以下に減らせただろう。 それを破たん寸前の町財政を救うために8号機まで誘致していたというのだから呆れてしまう。 政治家(民主党)たちは町民との会議を「公務があるから」と短時間の説明だけで去っていく。しょせん政治家の意識など政党を問わずこの程度のものだ。彼らにとって町民と対話するのは公務ではないのだろう。 住民のことなど何も考えないのが政治家だ。「成田治安立法」に反対したのが青島幸男ただひとりだったのはそのいちばん明快な例だ。 難民とはいってもパレスチナやシリアの難民とはわけがちがう。冷酷で残酷なようだが、悲惨さの度合いがちがいすぎる。これほど恵まれた「難民」は世界的に見てもめずらしい。だから放置してよいということにはならないが、彼らがパレスチナ難民を自分たちと重ね合わせるまでの思想的成長を遂げない限り、同情も支援もまっぴらだ。 ひとり、避難しないで牧場を続けている人が登場する。この人の存在そのものが「原発国家」への強烈な批判になっている。飢え死にしないように、そのためだけに牛を飼い続けているこの人の牧場は「希望牧場」というが、スローガンを書きなぐったその牧場はまるで解放区のようなすがすがしさだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 14, 2013 08:20:08 PM
コメント(0) | コメントを書く
[映画] カテゴリの最新記事
|
|