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カテゴリ:映画
全14作、15時間という大作を3日かけて観た。毎日4~5時間も見ながら、決して飽きることも退屈することもなく、次の回を観たくてがまんできなくなるという中毒のような体験。
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの作品は「マリア・ブラウンの結婚」とオムニバス「秋のドイツ」のパートしか観たことがない。しかし、37歳で世を去ったこの監督の異常とも呼ぶべき才能は、テレビ放映用に作られたというこの作品からも明らかだ。 原作は精神科医でもあったデーブリンという人の長編小説らしい。ナチスが台頭する1920年代末のベルリンの下層社会を描いたもの。とはいえドラマティックな出来事はほとんど起きない。根は善良だが愚かなフランツという男が、娘のように歳の離れた女と愛し合うものの、自分の愚かさのために友人にその娘を殺されてしまうというだけのお話。 何がすごいと言って、登場人物たちの存在感である。演技しているとは思えないほどで、登場人物すべてが実在した人間のような気さえしてくる。大都市ベルリンの20年代の爛熟と退廃は、ほんとうにこのようなものだったのかもしれないと思わせる。暗い時代の暗い話なのにどこかユーモラスなのは、テーマとして使われている音楽のせいもあるが、無垢と退廃が混然となった時代の人間を突き放すように描いているからだろうか。 ひとりの人間を深く知りたいと思ったら「ベルリン・アレクサンダー広場」を観るといい。ひとりの人間がどんなに矛盾に満ち複雑で理解しがたい存在か。逆に言えば、この映画を「体験」したことのない人は、まだそれを知らない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
June 19, 2013 09:14:23 PM
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