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投資の余白に。。。

投資の余白に。。。

August 1, 2013
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カテゴリ:映画
つまらない映画は多い。つまらない演出のオペラも多い。つまらない演劇はもっと多いだろう。

つまらないだけのものはあまり害がない。つまらなくなった原因を考える「前向きの」鑑賞もできる。

しかし、日本映画(やテレビドラマ)に多いのが、観客を侮辱しているとしか思えない作品である。観客をという言い方は正確ではない。観客の知性を侮辱している作品があまりに多いと感じられる。観ているわたし自身の知性を侮辱された気がして不愉快になるケースが多く、日本の映画やオペラからはすっかり足が遠のいてしまった。

この映画はちょうどその逆だ。おもしろいというだけではない。観客の知性に敬意を払っている、観ているわたしの知性に敬意が払われている、と感じる。ウディ・アレン作品にも通じるが、この映画はもっと独特だ。ファンタジーでもなく、ストーリーもないからだ。

舞台はウィーン、パリ、ロンドン、デンバー、フェニックスを転々とする。

とりあえず記憶に残っているうちに、ストーリーめいたものを書いておこう。

貧困からの脱却をめざし妹のためにウィーンの高級娼婦になるスロバキア人の姉は、彼女を買う予定だったイギリス人ビジネスマンとすれ違い、彼の取引相手に買われる。このビジネスマンの妻は若いブラジル人カメラマンと愛人関係にある。それを知ったカメラマンの同棲相手は失恋気分でブラジルへとひとり帰国するが、飛行機の中で失踪した娘を探す老紳士(アンソニー・ホプキンス)と知り合う。雪害で空港に足止めをくう間に彼女は性犯罪更正プログラムに参加中の性犯罪者をそうとは知らず部屋に招き入れるが、彼は懸命に自分をコントロールし、やる気満々の彼女は失望する。

高級娼婦の二人目の客は、ロシアマフィアのボス。そのボスに売春相手の手配をしている男の妻はイスラム教徒の歯科医に恋をし、歯科医も彼女に夢中で仕事に手がつかない。ホプキンスはアル中更正集会に参加するがそこにはその手配師の妻も参加し「道ならぬ恋」を告白する。手配師はボスが買春中、待っている娼婦の妹と親しくなりウィーン市内をドライブする。

ひとつだけ事件が起き二人が死ぬ。この事件もまたエピソードにすぎず、誰もその真実を知ることがない。マフィアのボスから電話で「いまノックしたのはおまえか」ときかれた手配師は「イエス」と答える。そのせいでボスは死に、一晩で大金持ちになった娼婦にちなんでブランカと名乗っていた女は大金を手に入れるが、その真実を知っているのは、映画の登場人物の誰でもなく、映画を観た観客だけなのだ。

この部分が、「観客の知性に敬意が払われている」と感じ痛快きわまりない。しかしこの部分だけでなく、ヨーロッパ各都市で複数の男女がつながり、人生の分かれ道を選択しそれぞれの人生を歩んでいくと要約できないこともない全体が、観客の想像力を刺激するだけでなく、その想像力自体に敬意が払われていると感じるのである。

こんな映画は観たことがない。

娼婦のおっぱいで始まりおっぱいでとじられる演出・構成は粋の極地だし、ヨーロッパだけでなく、アメリカの空港なども舞台にしたことでリアリティを高めた。

この映画はフェルナンド・メイレレスというブラジル人監督の2011年の作品。劇場未公開だというから蠍座での上映が世界初ということだ。

アンソニー・ホプキンスが出ている映画を劇場公開できないのは情けないにもほどがあるが、やはりこの大俳優が出ると場面が引き締まる。

この監督の名は記憶すべきだし、これまでの作品もぜひ観ておきたいという気になった。





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最終更新日  August 2, 2013 11:44:34 AM
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