インクレディブル・ハルク
2008年8月公開監督:ルイ・レテリエ制作費:1億5千万ドル 2003年に公開された、アン・リー監督による『ハルク』の評価がいまいちだったため、スタッフ・キャストを一新して新たに制作されたSF・アクション映画。 原作は、人気アメリカンコミック、日本でも有名な全身緑色の怪物、「ハルク」。 アン・リー版が、怪物へと変化することになってしまった自己の存在との葛藤、恋人や家族との確執という、言わばヒューマンドラマに主眼を置いたものだったのに比べ、本作はよりシンプルに、 ――敵(主人公ブルース・バナーから見れば、興奮状態に陥った時に出現する怪物ハルク、ハルクから観れば、自分を捕獲しようと襲ってくる米軍)―― との戦いをメインに据えた、純粋なアクション映画になったことで、非常に好評を得、前作の不評を払拭することに成功。 また、本作は、原作コミックの出版社であるマーベル・コミックが、自社制作をした映画の第二弾でもあります。 (第一弾は『アイアンマン』。ただし、日本での公開は『インクレディブル・ハルク』が先)[簡単なあらすじ] 科学者ブルース・バナー(エドワード・ノートン)は軍からの依頼により、放射性物質への耐性の研究をしていた。 ところが、人体実験によってガンマ線を浴びたバナーの身を、予期せぬ事態が襲う。 実験の事故により、彼の身体は謎の緑色のモンスターへと変貌を遂げてしまったのだ。 理性を失い暴れまわったことで、恋人のエリザベス・ロス(リヴ・タイラー)らに重症を負わせてしまったバナーは、軍の追跡から逃亡。 南米へと潜伏し、昂奮状態に陥らないように細心の注意を払いつつ、一方では謎の協力者ミスター・ブルーとコンタクトを取って、なんとか身体を治療をしようと苦心していた。 だが、その驚異的な力を利用しようとする米軍は、バナーの居場所を特定。 特殊部隊を編成し、強襲をはかる。 ついには、バナーを工場に追い詰めた特殊部隊だったが、そこで彼らは、緑色の怪物“ハルク”と遭遇する―― リメイクされた本作の見どころは、なんといっても激しいアクション。 最新のVFXで描かれたハルクのエネルギーは桁違い。 エドワード・ノートン演じるブルース・バナーは、怒りの感情を抑えるために、精神鍛錬に励みますが、軍の執拗な追撃によってあえなくハルク化してしまうことに。 各所で繰り広げられる、緑の巨漢VS米軍の激しい攻防は圧巻のひと言。 さらに、ヴィラン(敵役)として原作から登場の、アボミネーションとの人間をはるかに超越したモンスター同士の一騎討ちは大迫力。 たとえるなら、「曙VSボブ・サップ×10」といったところでしょうか(笑) アクションへと方向性をシフトしたことが、大成功だったと言えるでしょう。 その中でも特に私のイチオシなのが、ティム・ロス演じるエミル・ブロンスキーとハルクの対決シーン。 見た目は小柄で、しがないオジサン(いえ、私ティム・ロス大好きですよ。念のため)が、軍の超人兵士計画で作製された血清を打ったことで、人間の身体能力を限界まで高めた超人に変化(でも見た目はやはり小柄なオジサン)。 通常ではあり得ないほどの身体能力を発揮する生身ブロンスキーと、凄まじい怪力のうえに武器まで持ったハルクとの戦闘は必見! ティム・ロスの格好よさに、思わずどちらを応援していいのか迷うほど。 また、アメコミ映画で忘れてはならないのがユーモア魂。 原作当時からよくネタにされていた、“なぜ巨大化して服が破れても、ズボン(パンツ)だけは破れないのか”という点をセルフパロディして、ブルースにわざと伸縮性のあるズボンを選ばせたり、 ハルクへの変化の条件を、怒りの感情ではなく、単純に“心拍数が200以上への増加”としたことで、せっかく恋人のベティと再会できても、昂奮によって脈拍が上がってしまうためにえっちが出来ない、 など細かいところでクスリと笑わせてくれます。 さらに、序盤、ブルースに精神鍛錬の修行をつけてくれるのは、なんとあの“ヒクソン・グレイシー”。 舞台が南米だからといって、無駄に豪華なカメオ出演です。 カメオ出演と言えば、アメコミ映画には出ずにはいられない、「ハルク」原作者でもある陽気なオジイチャン、スタン・リー。 (日本でいえば、手塚治虫のような偉大な人) 今回はハルク細胞入りのジュースを飲んでぶっ倒れてました。 さぞかし刺激的な味がしたことでしょうね……。 (次作でマエストロとして登場したりして……(笑)) さぶろ個人としては、前作「ハルク」でベティ役を務めたジェニファー・コネリーの降板が残念でなりませんが、主演のエドワード・ノートンが顔、体格共に貧相なルックスのため(ファンの方、失礼)、同じく幸薄そうなジェニファーよりも、グラマーなリヴ・タイラーの方が、見映え的にもよかったかなと思ったり。 冒頭でも書いたように、本作の内容は『アイアンマン』ともリンクしており、「スターク・インダストリーズ」や「S.H.I.E.L.D」など関連を思わせる単語が各所に登場。 マーベル・スタジオズによると、今後も『アイアンマン2』『キャプテン・アメリカ』『ソー』と同社のアメコミを原作とした映画の製作がすでにいくつも決定されており、最終的にはヒーローチーム『アベンジャーズ』へと繋がる一大プロジェクトであることが発表されています。 (本作でも、続編へと繋がるであろうなと思わせる伏線が……) アメコミ好きは『アイアンマン」とそれに続く作品の予習のために、そうでない人も、ド派手なアクションにストレス解消をできる、娯楽大作です。 **********インクレディブル・ハルク デラックス・コレクターズ・エディション【ブルーレイポイント5倍】インクレディブル・ハルク【Blu-rayDisc Video】ユニバーサル・セレクション \1,500::ハルクこの映画の詳細(Amazon)。⇒インクレディブル・ハルク デラックス・コレクターズ・エディション 【Amazon.co.jp 限定リバーシブル・ジャケット仕様】 [DVD]アベンジャーズシリーズの記事はコチラ⇒「アイアンマン」アメコミ原作映画の記事はコチラから⇒アメリカンコミック原作映画(リンクページ)エドワード・ノートン出演作品の記事はコチラ⇒「レッド・ドラゴン」