英国ミステリ道中ひざくりげ: 若竹七海 /小山正
昨日紹介した修道士カドフェルシリーズの舞台は、イギリスのシュールズベリですが、この本にはカドフェルの生まれ故郷ウェールズとシュールズベリのことが書かれています。とは言ってもそれは一部分で、これは若竹七海さんが、ご主人や友人たちと共に訪れた英国各地の旅行記です。英国ミステリ好きな若竹さんが、主に英国のミステリや文学に登場した土地や建物を巡り訪ねるというもので、コナン・ドイルやアガサ・クリスティーゆかりの地はもちろん、セイヤーズの『ナイン・テイラーズ』に出てくる教会のモデルはこの教会とか、ディクスン・カーの『死時計』でフェル博士が宿泊したホテルはこの辺だ、という風に話は進んでいきます。その中でもミステリの謎解きをしながらカドフェルの時代の修道院や生活を知るという「シュルーズベリ・クエスト」は、楽しそうでぜひ行って見たいと思います。英語での謎解きは絶望的でしょうが……。本の帯に「旅と英国ミステリを愛する愉快な夫婦の地獄・極楽何でもありの底抜け旅行記。詳細な英国各地の古書店ガイド付き。 」とあるように、目的地がみつからなかったり、ミステリゆかりの地をめぐるはずがいつのまにか古書店めぐりになっていたりと、単なる紀行文とは一味違ったユーモアあふれる旅行記となっています。また、この本は、英国ミステリガイドとしても楽しめるので、読後には読みたい作家リストが増えること間違いなしです。英国ミステリ道中ひざくりげ 著者: 若竹七海 /小山正