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システムエンジニアの晴耕雨読

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2017.02.11
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西垣通「ビッグデータと人工知能 - 可能性と罠を見極める」(中公新書)

2016年刊



 いったいビッグデータで何が嬉しいのか?


 その一つの回答が、「データが富を生む」という発想の出現である。

 データフィケーション=データ化によって、経済効果が期待できる。

≪ポイントは、ビッグデータの利用で、われわれの生活をめぐる生産と消費のあり方が

 変化するということだ。

 具体的には、人々の個別の細かい好みにおうじた新たな消費需要を、

 ビッグデータの分析が堀りおこす可能性がうまれるのである。≫


 ビッグデータは社会の富を増やすだけではなく、

 人々の暮らしのなかでもっとも大切な「社会的安全性(セキュリティ)」を高めると

 期待されている。

 橋やトンネル、ダム、下水、送電設備などの現時点の状況をリアルタイムにIoTによって

 把握できるようになることで、予防保守が可能となり、災害を防ぐことができるようになる。

 さらに、地震、津波、ゲリラ豪雨、洪水、火山噴火など、突発で起こる自然災害の脅威

 からも人々を守るために、ビッグデータは役立つ。



 一方、ビッグデータによって、私たちの個人情報は丸裸にされてしまう。

 DNA遺伝子の分析結果によって、自分自身でさえ知らない将来の健康状態を

 保険会社の方がより詳しく把握するかもしれない。

 再犯性の高い犯罪防止のために、その恐れのある人物を警察や治安当局がマークする場合、

 ビッグデータの活用によるプロファイリングは果たして許されるのか?




 ビッグデータ分析の特徴の一つは、「因果から相関へ」である。

 ビッグデータ分析の魅力は、常識をこえた相関関係を発見することで、

 有効な行動をとれる、ということである。

 ただし、帰納法で得られる一般ルールには、「例外をのぞけば」という制限がつく。

 必ずしも、常に成り立つ、ということではない。




 人工知能への過度な期待は禁物・・

 プロ棋士に勝った将棋ソフトや囲碁ソフトがいかに素晴らしく思えても、

 あくまで専用人工知能であって、哲学や経済学の論文を書けるわけではない。

 少し辛口でいうと、

「むろん、システム構築においてはさまざまな凝った工夫がなされているだろうし、

 その努力の大きさには頭が下がるが、まあヒマ人の道楽にすぎない。」



 ディープラーニングへの期待も禁物・・

 深層学習のもつ特徴量抽出機能・・パターンの特徴を自動的につかめる、ということから、

 人工知能は「概念獲得」に成功した、と主張する人がいる。

 深層学習は、自動的にパターンの本質的特徴をとらえるのだから、解くべき問題の本質も

 把握できるはず、というわけである。

 でも、残念ながら、このような楽観論は完全に的外れである、とバッサリ。

 深層学習は、パターン認識技術のブレイクスルーであるが、それによって汎用人工知能が

 近々出現するなどという飛躍した議論は説得力を持たない。 

 
 フレーム問題・・フレーム問題の困難さは、知識の不足というよりは、むしろ問題を枠づけ、

 当面の目的に関連する知識を選びだして利用することの難しさである。

 それはつまり、目的にあわせて問題を設定することの難しさに他ならない。


 「シンギュラリティ」を唱えたカーツワイルも、究極の楽観主義者であった((+_+))

 ・・シンギュラリティに対して、西垣さん、厳しいです。

≪シンギュラリティ仮説の愚劣さは、人間社会が生命的な価値によって支えられているにもかかわらず、

 ビッグデータや人工知能によって人間社会を機械的に統御できると勘違いしている点にある。≫


≪シンギュラリティ仮説が何といおうと、人間の脳のメカニズムをいくらシミュレートしたところで、

 人工知能が人間の思考とぴったり同じ情報処理をすることなど絶対に不可能なのだ。

 脳は独立した論理的存在ではなく、生きた身体と不可分であり、

 個々の身体は刻々変化していく生態系のなかに組み込まれているのである。≫





<目次>
まえがき
第一章 ビッグデータとは何か
1・1 データが主役の時代
1・2 富とセキュリティ
1・3 超えるべき壁
第二章 機械学習のブレイクスルー
2・1 人工知能ブームの再来
2・2 深層学習の登場
第三章 人工知能が人間を超える!?
3・1 シンギュラリティ狂騒曲
3・2 生物と機械の違い
3・3 ロボットとのコミュニケーション
第四章 自由/責任/プライバシーはどうなるか
4・1 一神教の呪縛
4・2 社会メガマシン
第五章 集合知の新展開
5・1 ビッグデータと集合知
5・2 人間と機械の協働
あとがき





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最終更新日  2017.02.11 17:34:38
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