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カテゴリ:環境問題はなぜウソがまかり通るのか
「このシリーズ その11です」
第4章「ちり紙交換屋は街からなぜいなくなったのか」に関して 「森林資源破壊の元凶にされてしまった紙」 170頁 171~172頁の記述の中で武田氏は「日本人が使っている紙の原料のほとんどは先進国の森林から採られたものであり、守らなければならない開発途上国の森林からではないのだ」として紙のリサイクルが実にバカらしいことであり、さらには「環境運動が環境を破壊している」と断じています。ここでは、1、紙のリサイクルと森林破壊は無関係なのか、2、環境運動が環境を破壊しているのか、3、紙のリサイクルは二酸化炭素の削減につながらないのか、の3点において述べてみます。 1、紙のリサイクルは森林保護とは無関係なのか? これについては、 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の問題点 で栗岡氏がわかりやすく指摘しておられますが、一部引用させていただきます。 「紙のリサイクルと熱帯雨林や開発途上国の森林は関係がない」(171頁)と同書はいいきっている。「熱帯雨林を守りたいのに北方の先進国から来る紙の原料を節約しても、熱帯雨林の減少は止められないのは当たり前なのである」(173頁)というのがその根拠。 だが、これはまったくの誤りだ。量販店に山積みされている真っ白なバージンパルプ100%のインドネシア製のコピー用紙は熱帯林と密接な関係にある。 日本で作られる紙の原料にしても、「北方の先進国から来る」ものばかりではない。バージンパルプの原料である木材チップには広葉樹と針葉樹があるが、 針葉樹チップのほぼ倍の消費量である広葉樹チップの輸入先は、オーストラリア34%、南ア24%、チリ16%、ベトナム6%、ブラジル5%、ウルグアイ3%、その他11%(2006年、財務省通関統計)である。 オーストラリアは先進国だが森林破壊が深刻。JATAN(熱帯林行動ネットワーク)やグリーンピースなどのHPでも破壊の様子が取り上げられている。 上記の引用部分だけでも、同書の誤りは明らかでしょう。 2、環境運動が環境を破壊しているのか? 現在、 多くの製紙会社が熱帯ないしは温帯(主に開発途上国)で植林活動を行っています。このような活動の背景には「環境運動」があると思われますが、森林の成長の早い地域で計画的に植林・伐採を行いパルプの原料を確保する活動は、環境にとってマイナスになるとは言えません。 輸送や製紙の過程で二酸化炭素を出すことは避けられないですが、バクテリアの分解等による二酸化炭素の発生はなく、植林された木々の生育過程では当然二酸化炭素を吸収します。「環境運動が環境を破壊している」と言う主張は破綻しているといわなければなりません。 ただ、計画的に植林・伐採が行われてきた北欧の人工林が無駄に捨てられているというのは問題でしょう。建材やパルプも含めて国内や近隣の国々で適度に活用していくことが望まれます。 3、紙のリサイクルは二酸化炭素の削減につながらないのか? 「環境白書」によれば、古紙リサイクルの場合75%のエネルギーが節減できるということです。紙のリサイクルが“エネルギー節減”につながることは間違いないようです。また、北欧などの遠隔地から輸送するエネルギーも節減できます。二酸化炭素の排出を抑制するという点では、古紙リサイクルも立派に「環境配慮活動」となっているのです。 ついでに言うと「チリ紙交換車」は、私の町にも結構頻繁に回ってきています。「お金になりますか?」と業者の方に質問したところ、「食べていくには困りません」とのことでした。「環境運動」を背景に再生紙の需要が増えたためでしょうか。 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに (yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。) ↑ ランキング(日本ブログ村)はこちらです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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