久しぶりに記事を公開します。
「美味しんぼ休載」というニュースと、その背景にある「美味しんぼたたき」にあきれ果てたからです。
〔5月19日:ようやく「売り切れ状態のスピリッツ6月2日号」を読む機会を得ました。その結果、「美味しんぼ休載」の理由は「美味しんぼたたき」ではなく、かねてから予定していたものであることが確認できましたので、この点は追記しておきます。ただし、「美味しんぼたたき」に関する以下の論旨に変更はありません。〕
過去記事でも述べたように、日本においては旧ソ連で保障されていた人権(原発事故による被曝を避けて移住する権利)さえ保障されていません。
旧ソ連で原発事故に伴って制定された「チェルノブイリ法」の骨子は「年間被曝量1msVを越える地域に居住する人たちには『移住する権利』を国家として保障する」、「5msVを越える地域は居住を禁止する」というもの。
健康で安全に生活していくという「住民の権利」は当然保障されなければならないわけですが、旧ソ連に劣る日本の現状について「美味しんぼたたき」をした人たちはどのように認識しているのでしょうか?
そして、「被曝をしない権利」「健康な生活を送る権利」を実質的に保障していくためには、現地の人たち(もちろん全ての人でないにしても)の「体験に基づく発言」を知らせていくことは重要であり、「風評被害」を振りかざしてそのような表現を圧殺する社会には大きな問題があるといわなければなりません。
「被曝しない権利」の保障を求めて活動している福島の市民団体の抗議は当然であると考えます。
確かに、各個人の「体験に基づいた見解」は根拠が薄い、という見方もあるでしょう。
しかしながら、下の表の通り、原発労働者(20万人)を対象とした疫学調査の結果、「低線量被曝」による健康への影響は従来考えられていたものをかなり上回る、ということも報告されています。
〈上記データは、内部被曝研究会の記者会見で報告されたもの〉
人権(「被曝をしない権利」や「知る権利」、「表現の自由」)を押し潰す現実については、福島の市民団体とともに、強く抗議の意思を表明いたします。
なお、市民団体の抗議の概略は以下の通りです。
〔引用〕
「週刊ビッグコミックスピリッツ」4月28日及び5月12日発売号の「美味しんぼ」の表現に対し、福島県が表明した抗議文『週刊ビッグコミックスピリッツ「美味しんぼ」に関する本県の対応について』に対し、本日、ふくしま集団疎開裁判の会は、以下の抗議を福島県に申し入れました。
(・・・中略・・・)
前述の「美味しんぼ」に紹介された双葉町の前町長や福島大学の准教授の見解も今日の科学の限界を踏まえて、自身の被ばく体験と同様の境遇に置かれた市民たちから得た情報から導かれる範囲で、自身の見解を述べたものであって、根拠のない噂=風評ではありません。事実、被ばくの鼻血と関係を明言する専門家(西尾正道北海道がんセンター名誉院長)もいれば、除染の効果が十分上がらないことがチェルノブイリで証明済みであることもつとに指摘されている専門家も存在します(菅谷昭松本市長「これから100年放射能と付き合うために」67頁以下)。
しかし、福島県は、この「灰色の評価」をめぐって、福島県の見解と異なるというだけで、これらの見解を根拠のない噂=風評と決めつけ、「本県への風評被害を助長するものとして断固容認できず」と非難しています。
それは前述した「権威の座にある人たちの気に食わない意見を発表する自由」を保障しないことにほかならず、表現の自由に対する重大な侵害です。
のみならず、双葉町の前町長や福島大学の准教授の見解は彼らの個人的な見解にとどまらず、世界で最も過酷な「福島の現実」と向き合おうとしている多くの人たちにとって注目し共感せずにおれない重要な見解です。福島県の非難は、こうした人々の声を上げる自由をも抑圧するものであり、民主主義社会の基盤である自由な発言と討論の広場を奪う結果になっているという由々しき事態を深く自覚すべきです。
〔引用終了〕
☆【声明】漫画「美味しんぼ」の表現の自由を抑圧する福島県に抗議する
URL http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html より
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