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カテゴリ:震災、原発事故
「1月27日には小児甲状腺がんに罹り、摘出手術を受けた若者たち6名が、東京電力を相手取り訴訟を起こし」ました。因果関係(が無いという)立証責任は被告である企業の側にあることは、四大公害裁判でも確定しています。 上記はかなりおおざっぱな記述になっていますので、環境白書〔1973(昭和48)年版の「第1節 四大公害裁判の教訓」〕をもとに補足をしておきます。 企業側に立証責任があることをわかりやすく述べている判決は、新潟水俣病のものです。 1971(昭和46)年9月の判決において、まず、因果関係については、原因物質および汚染径路について様々の情況証拠により、関係諸科学との関連においても矛盾なく説明でき、汚染源の追求が被告企業の門前に達した時には、被告企業において汚染源でないことの証明をしない限り、原因物質を排出したことが事実上推認され、その結果工場排水の放出と本疾病の発生とは、法的因果関係が存在するものと判断すべきであるとされた。 (熊本の水俣病の場合、遅まきながら被告が因果関係を認めた。) また、イタイイタイ病の場合は「被告が主張するカドミウムの人体に対する作用を数量的な厳密さをもって確定することや経口的に摂取されたカドミウムが人間の骨中に蓄積されるものかどうかの問題はいずれもカドミウムと本病との間の因果関係の存否の判断に必要でない」とされ、原告による定量的な立証責任が免除されました。 さらに、四日市ぜんそくの訴訟で、企業側が「大気汚染防止措置を講じて、結果回避義務を尽した以上被告に責任はないと主張したことに対して」は、「生命、身体に危険のあることを知りうる汚染物質の排出については、企業は経済性を度外視して、世界最高の技術、知識を動員して防止措置を講ずべきであり、そのような措置を怠れば過失は免れない」という判決が下されています。 いずれも、因果関係の厳密な定量的・科学的立証責任を原告側に負わせることなく、健康被害に関する企業側の責任を明確に認めています。 東京電力を相手取って起こされたこの度の訴訟も、過去における公害裁判の判例が重要な意味を持ってくるはずです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.11 06:35:21
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