孤宿の人（上下）・・・・宮部みゆき

2005.07.13

(9)

テーマ：時代小説がダイスキ(480)

カテゴリ：読書

日記の書き方が、変わったのかしら～？？

とりあえず、いつもと同じ書き方で・・・

孤宿の人・・新人物往来社刊
宮部みゆきの時代劇である。

舞台は讃岐国丸海藩。
この地に幕府の罪人、加賀殿が流されてくる事になった。
しかし、まだ流される前からこの丸海には、不可解な事件が相次ぐ。
これも総て加賀様の所業のたたりなのか。
加賀様は、鬼であるとか悪魔であるとか・・・噂は町中に広がり知らぬものは居ない。

匙家で下働きしている「ほう」という幼い娘。
彼女は周りの大人から「お前は阿呆のほうだ」といわていた。

大人の難しい事を聞いても、子供の彼女にはよくわからない。
字も満足にかけないし、数も数えられない。
それには事情があるとはいえ、彼女も自分が「阿呆だからだ」と思っている。

そんな「ほう」を取り巻く町の人々も匙家を通した藩の人たちも、加賀様を中心に藩と共に大きく揺らいでいく・・・

上下巻で読み応えタップリ。

特に下巻になると、私はとにかく泣けて仕方が無かった。
涙腺が弱くなっているのかも・・（笑）
特に泣かせようとしているわけではないのだが、やはりどっぷりとこの世界に入り込んでしまうのだろう。

ほうはなにも知らない、なにもわからない。ただ「はい」「はい」と言いつけに従って動くだけなのだ。
そんな彼女は、見たものしかわからない。
しかし、彼女のその素直さに心を打たれる。

舞台が江戸ではなく地方の自然豊かな小さな藩であるというのも、新鮮だった。
そして、いつもの宮部ワールドである、町の人々の暮らしが生き生きと描かれている。
そして、恐いくらい人間の深部を見せてくれる。
人間ておろかだけれども愛しいものだと、教えてくれる。

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最終更新日 2005.07.13 21:56:44
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