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カテゴリ:読書
読み終わりました。
宮部さんの3年ぶりの現代小説。 ええと「誰か」がこの前の作品ですね。 「誰か」の印象は薄いです。どんな話だったっけ・・?? その前というとファンタジーなど書かれていますけどそれを除くと「模倣犯」になるのですね。 「模倣犯」は映画になってしまいました(しまいましたって(笑)) 小説の方は、かなり私は恐かったですよ。 理不尽な、言いようのない不安を感じさせられました。 そういう意味では、今回の「名もなき毒」にも通じるものがあるのかもしれません。 ただ、「誰か」の続編的な感じでもあるので、というか主人公が「誰か」と同じ主人公なので雰囲気が前作「誰か」に似ているでしょうね。 でも、なんだかちょっとテンポが悪いかな~~って思ったのは私だけでしょうかね。 もう一度「誰か」を読んで、ざっとおさらいしてみようかとも思いますが。 あ、「誰か」を読んでいなくても、それほど支障はなく読むことができますよ。 でも、この主人公が関わった以前の事件という話題が出てくるので、やっぱり気になるかもですね。 名もなき毒 ストーリー 愛犬との散歩の途中、コンビニに立ち寄った古屋明俊は、紙パック入りの烏龍茶を買い、歩きながらそれを口にした。その直後、唸りながら口から白い泡を噴き、手足をばたつかせ、のたうちまわり、そのまま絶命するという凄惨な事件が起こる。誰が見ても異様な死だった。彼が連続無差別毒殺事件の4人目の犠牲者の可能性があると報道されたのは、事件発生後3時間後のことになる……。時を同じくして、今多財閥の娘と結婚し、可愛い子供にも恵まれ、何不自由なく暮らす杉村の周辺で「轢き逃げ事件」「毒物混入事件」「飛び降り自殺」など奇妙な事件が次々と起こる。毒殺事件被害者家族の古屋美知香との出会い。ある事件がきっかけで、会社をクビになった元部下からの執拗なまでの嫌がらせ。死期間近の元刑事……。事件の真犯人は?事件の真相は?バラバラに起きる事件の関連性は? 杉村が様々な事件で垣間見た、「名もなき毒」の正体とは? ~~~~~~~~~~~ シックハウス症候群、土壌汚染というのがここに絡んできます。 娘のためにと、杉村の妻はシックハウス、更に土壌汚染について勉強し「安全な家」を手に入れます。 汚染されていない家ですね。 しかし、ラストに語られるんです。 「いくら清浄な家を手に入れても、人が住まう限り毒が入り込む。我々人間が毒なのだから。」 と。 う~ん、ですね。 普通は汚染されているものを取り除けば、きれいになりますよね。 そして安心して生活ができるはず。 しかし人の心の中に潜む毒は、消し去る事はできないのか? その毒は、なんという名前の毒なのか? 名前を付けられれば、姿のない恐怖には形ができ、捕らえる事も滅する事もできる・・はずだ。 余談ですけど「ゲド戦記」でも「陰陽師」でも名前の持つ力を言っていました。 名前がつくと形が分かるんですよね。 形のないものは、やはり恐怖を感じますね。 そして確かに、そういう恐怖を感じる話でした。 そういう意味では現代の恐怖を再び書いてくれたということですね。 今回の主人公は前回に続き今多財閥の婿さん(婿じゃないけど)、財閥を乗っ取る事は決してないと見込まれ、娘を貰った杉村。 この彼の人のよさが、こういう事件に関わる事になりまた解決に導く事になるわけです。 ものすごい事をするわけではないというところでは、普通の男だという事ですよね。 しかし、彼はやっぱり普通とは世間から見られていない。 財閥がバックについているからでしょう。 それを淡々と受け入れているようにも思えます。 周りからはそんな見方をされ、家ではやはり後ろ盾があるからこそ優雅に暮らすことができる妻子をちゃんと分かっているんですよね。 もちろん、そういう金銭面で優遇されている彼ら一家でも「毒」から逃れる事はできないという事は、庶民と一緒です。 そんな彼に好感を持ちますが、この彼を再び主人公にしようと思ったのはなんででしょうね~。 宮部さんが気に入っちゃったんでしょうね、この杉村さんを。 私はといえば、そうですね~~、いい人だなあと思うのですが、今一つインパクトがないというかね。 違う主人公が良かったかな? これは読む人によって、感じ方が分かれるところでしょうね。 ~~~~~~~~~~ 主人公の周りの人物達は、いきいきしてますね。 宮部さんの小説を読むと、やっぱり元気がもらえるとも思うのです。 悲惨な事件、恐怖を見せながらもやっぱり人間を愛しているんだなあって思いますね。 そこがやっぱり魅力の一つだと思います。 とはいえ、今回やっぱりちょっと物足りないかな。 「模倣犯」を読んだとき受けた衝撃が強いのかもしれないですね~。 今回は、うまく私の中で「こなれなかった」気がします。 ストンと落ちないんですね。 歴史小説の「孤宿の人」が良かったもので、よけいに感じるのかもしれないんですけどね~~。 でも久々の現代小説です、宮部ファンは是非読んでみてくださいね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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