|
テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:2008洋画
☆宮廷画家ゴヤは見た☆(2006)
ミロス・フォアマン監督 ハビエル・バルデム ナタリー・ポートマン ステラン・スカルスガルド ストーリー 時は18世紀末、スペイン国王カルロス4世の宮廷画家に任命されたフランシスコ・デ・ゴヤ。画家として最高の地位に登り詰めながらも、常に現実の社会と向き合い、人間の真実を見つめ続けた画家。1792年、ゴヤは2枚の肖像画に取り掛かっていた。1枚は裕福な商人の娘で天使のように純真な魅力にあふれた少女イネス。もう1枚は威厳に満ちたロレンソ神父。そんな中、カトリック教会では、ロレンソの提案で、形骸化していた異端審問の強化が図られていた。そしてある日、イネスは居酒屋で豚肉を嫌ったことからユダヤ教徒の疑いありとして審問所への出頭を命じられてしまう。 スペインの歴史、天才画家ゴヤ、それほど知っているわけではありません。 この映画ゴヤは「見ていた」なんですよね。 歴史の語り部的な存在です。 スペイン王政の時代、ナポレオンがスペインを支配下に置いた時代、そしてそのナポレオンを追い払うべく次にやってきたのがイギリス軍・・・再びスペインは王制に。 そこにカソリック教会が行っていた異端審問。 魔女狩りのようなものでしょうかね・・政治と深くかかわっていた教会なので政治犯なども含まれていたのかもしれませんが。 時代の波にもまれるスペイン。 価値観がころころ変わるのです。 監督はチェコ出身なのだそうですね。 チェコが民主主義、ナチ支配の時代、共産主義、民主主義、そして再び共産主義、さらに民主主義と変わらざるをえなかった姿とも重なるところが大きかったと言っています。 話はゴヤが描いた二枚の肖像画の人物になります。 一人は教会の天井画などにも描いたというゴヤにとってはミューズのような純真無垢な娘イネス。 そしてもう一人は教会の異端審問を強化するように提案したロレンソ神父。 この二人がどうかかわっていくのだろうか。 イネスは異端審問で囚われてどうなるんだろうか、一方ロレンソはイネスの父親によって「異端審問の信ぴょう性のなさ」を実感することになるのですが、それがどうかかわっていくのだろうか…とストーリー的にも面白く、後半の意外な展開まで興味が尽きることがありませんでした。 重厚なセット(セットはスタジオではなく歴史的建造物などを使用しているようです)、豪華な衣装、それだけでも見ごたえがあります。 ナタリー・ポートマンが素晴らしいです。 純真な娘、その後の変貌ぶり。 異端審問にすっかり人生を狂わされてしまった哀れな女です。 これは本当にひどい話だと思います! それにしてもこの衣装、素敵でしょう^^) 刺繍も(つい刺繍や装飾に目が行ってしまう♪) 何も知らない、周りには幸せなことしかないという娘そのものですよね。 ロレンソ神父役、ハビエルもこの複雑な神父の役を見事に演じてます。 ロレンソって信じ込んだら他は一切受け付けないのですよ。 しかし見事に(いい意味でも悪い意味でも)しぶとく時代を乗り越えてきたと思ったんですけどね・・・ しぶとくラストも乗り越えて行っちゃうのかなって思ったんですけど、そうならなかったのが私としては意外でした。 ゴヤ役ステランは「エクソシスト」の神父役なんですってね。 最近はパイレーツ・オブ・カリビアンの靴ひものビルですよ。 なんか愛嬌のある顔してますよね、こうしてみると^^) ゴヤって描くことが全て、肖像画は王、王妃をはじめフランス、イギリスとこだわりはないようですね? 一方で歴史を見つめ続け、聖職者の不正を暴き戦争の悲惨さを伝えるそんな絵も多く残しています。 この映画でのゴヤは、肖像画を描くことで生計を立てつつ一方で現実の姿を銅版画に残しているのです。 実際のゴヤがどうであったのかわかりませんが、もう一歩イネスにかかわったらイネスは救われただろうか?とか考えてしまいましたが・・・ でも、宮廷画家という地位で何ができたかといえば、やっぱり何もできなかったのだろうとも思うのでした。 一般の民衆と同じで、ただ起きることに翻弄され驚きおののいている。 しかし彼ができることは描くこと。 「残す」「見届ける」それがゴヤなのだと思ったのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[2008洋画] カテゴリの最新記事
|
|